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【目次記事】フォドラ千年の旅路―FE風花雪月とアルカナの元型①

本稿は、『ファイアーエムブレム 風花雪月』の紋章とタロット大アルカナの対応について考察していきます。また、タロットカードの世界観と同作の世界観の共通したテーマについても述べていきます。

各アルカナ(「Ⅰ 魔術師」などの絵柄)と対応紋章・キャラクターの詳細記事へは、こちらの一覧記事を目次として都度リンクを張っていきます。もちろんネタバレを含みます。

(2019年公開の『【目次記事】千年の螺旋―FE風花雪月とアルカナの元型①』の新バージョン記事です)

 

 

紋章とタロット大アルカナの対応解説の書籍化企画、年末か来年頭くらいの発行に向け進行中です。「タロットカード同梱版」と「書籍のみ版」のご予約が開始しました!

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 『ファイアーエムブレム風花雪月』の世界観の中核的要素となっている、「紋章」

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フォンッ……って光る。

この「紋章」は現実のヨーロッパで使われている紋章とはまったく違うもので、英雄の血筋の遺伝子に宿る、先天的な能力のあかしです。

現実世界のヨーロッパでいう紋章は貴族が自らの家門や縁戚関係を識別しアピるために、「貴族の証として自分で作った」ものですが、フォドラで一般的に信じられている「セイロス教」の神話では、紋章とは

「女神に代わってフォドラの地を治め、
 民を導く者の証として、

 貴族の祖先に女神によって授けられたもの」

のように教えられています。

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この、フォドラに存在する、あるいはかつて存在した「紋章」はデモムービーでもチラッと映るこのフレスコ画や、同様にデモムービーの中でババババ!って画面奥に集束していくたくさんの光る文様にあらわされています。

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これは主人公のもつ特別な紋章「炎の紋章」をあわせると合計22個あり、その22個、タロット大アルカナの22枚に対応して設定されてるようだぞ? と、作中で匂わされているんですね。

当記事シリーズは、その紋章とタロットの22の対応を一つずつ読み解いていくものです。

 

 

確認できる証拠

 タロットに対応した設定があるのね、OK、個別の紋章の話を早く見せろや、という方は目次から「22の紋章の旅路」に飛んでください。

 いきなりのネタバレなのですが、フォドラの「貴族に授けられた紋章」とは本当は女神によって授けられたものではなく、もともとは「女神の眷属」というマムクート(ファイアーエムブレムシリーズおなじみの「竜人」種族)のもっていたものを、遺伝子組み込みによって人間に植え付けたものです。危険な竜の力を使いこなせるキーをもった古代の有力者たちの遺伝子が受け継がれているため、「紋章を持っているのが貴族の何よりの証拠」のような社会になることになりました。フォドラ社会のくわしい成り立ちについての考察は以下↓に。

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そして、この「竜の力を使いこなすキー」をもたない人間が「英雄の遺産」という竜の遺伝子をキーとする伝説の武器を使ってしまうと、ヤバいことがおこります。武器の中に含まれる竜の遺伝子に体が拒否反応をおこしてダメージを負うばかりか、一定の確率で竜の力に喰われ、竜のような姿の魔獣と化してしまうのです。

その魔獣、あるいは古代から存命の竜は、額に「紋章石」という力の結晶をもちます。この「紋章石」に、タロットの番号と名前がバッチリ書いてあるのです。

 

 もちろん22もある紋章の中で魔獣や存命の竜が登場するものはほんの一部なので、それ以外の紋章が何番のなんのタロットに対応しているのかは明言されていません

なので、作中のグラフィックや設定資料集(初回限定豪華版の『フォドラコレクション』についていたもの)で確認できる紋章の番号とタロットを、作中で紋章がズラリ並んでいるところにあてはめてみましょう。

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たとえばこれ。この「PLAYER PHASE」「ENEMY PHASE」切り替えのグルグル回る円周にも紋章が配置されているのがわかるとおもいます。全部ちがう紋章で、数を数えるとやはり「炎の紋章」を除く21個ですね。全部あるぞ。

ちょうど聖マクイルの紋章が「Ⅰ MAGICIAN(魔術師)」だとわかっているので、そこを基準にしてわかっているものをあてはめてみましょう。画面だと見づらいからでっかめに画像に。

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どの紋章がどの位置にあるかを配置して、設定がバッチリ書いてある番号と対応タロットを書きました

始めの「1,2」と、「13,14,15」が連続してわかってるおかげでわかりやすいですね。このグルグルは番号通りに並んでいるようです。だから、他の紋章もその番号のタロットに対応しているとみていい…………

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 アレ、でもこのフレスコ画の並び方違くね?

アレ? 冷静に整理してみましょう。

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ゴチャゴチャじゃないかよ。どれがどのタロットに対応しているかは結局確定しないのか~~!?

しかしよく見ると、えーと、さっきの並びと基本は似ていて、途中で抜けが出る感じで順番が狂ってるなと気付きます。

並びが一致している部分にしるしをつけ、真相が明らかになったものがこちら。

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青い帯が続いている部分はターン切り替えのグルグル紋章と並びが共通している部分、赤い三角の部分が「抜け」が出ていたり順番がおかしい部分です。①の部分はエルネストと聖マクイルが逆?ですし、②には聖マクイル聖セイロス、③には聖セスリーン、④には聖キッホル、⑤には聖インデッハが入っていたはずです。

もうおわかりですね。

ターン切り替えの紋章の順序とフレスコ画の紋章の順序は、どちらか、あるいはどちらもがデタラメなのではなく、ターン切り替えの回転の順序を基本として、「宗教画」であるフレスコ画では変則的に聖セイロスの紋章をトップにセイロス教の聖人の紋章を上位に置いているのです。だから明言されてない紋章とタロットのナンバーの対応も実はちゃんとわかる!

そしてこのナンバー対応は実は、こんだけ二つを見比べてウンウン考えたんですけど、クリア後特典として名声を消費してゲットできる紋章アイテムの並び順といっしょだったりもします。クリア前に考察はするもんじゃないですね。

 

なぜタロットなのか?

 22の紋章やキャラがタロットに対応して設定されているのはいいとして、なぜ、『風花雪月』にタロットを合わせたのでしょうか?

そこには、「タロットってなんか多彩で神秘的でカッコいいから」だけではない、『風花雪月』ならではの意味のマッチングがあります。

 

ヨーロッパ文化とタロット

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当ブログの『いただき!ガルグ=マクめし』シリーズでも読み解いているのですが、『風花雪月』はわれわれの住む現実世界の歴史とは違う「異世界」の設定ではあるもののかなり繊細かつ大胆に中世・近世ヨーロッパの文化や歴史をモデルにとって設定されています。社会の構造や思想なども、現代人にわかりやすいアレンジを加えつつも、その根底には「それっぽさ」をはるかに凌駕する中世・近世ヨーロッパの歴史への洞察があります。あるんですよォ~。『信長の野望』『三国志』『大航海時代』『遙かなる時空の中で』等の歴史ものシリーズを誇る、とにかく歴史大好きオタクであることが知られているコーエーテクモゲームス制作協力のたまものでしょう。

つまり、表には出なくても『風花雪月』の底流にはヨーロッパの歴史文化のエッセンスそれを現代日本人に馴染むよう解釈したものが流れているということです。

 

 ここで、タロットの話に戻りますけど。そもそもタロットってなんなのかという話をしてませんでしたのでここでします。

タロットカードとは、それこそ中世・近世ヨーロッパで遊ばれたカードゲームや占いの道具です。日本では神秘的な占いの道具というイメージが強いですが、どちらかというとゲーム用のカードとして使われていました。紋章と対応している「大アルカナ22枚」のほかに「小アルカナ56枚」があり、小アルカナっていうのはほぼわれわれの知るトランプです。というか日本で「タロットカード」と呼ばれているカード類も「TRUMP」と呼ばれることもあります。トランプみたいなものとすると、賭け事遊びのためのカードだというのもわかっていただけるとおもいます。

大アルカナはトランプでいう「切り札」ジョーカーのような強力なカードです。切り札が22種類もあったんだな。強力な切り札なので、「皇帝」や「法王」「死神」「悪魔」などの「強力な概念」がカードに描かれることになりました。強くて怖いものだけではなく、「正義」「節制」「忍耐」などの「この世に存在するかたちのない美徳」を擬人化した絵もまた、カードに描かれました。ちなみに「アルカナ」というのは「神秘」をあらわす言葉です。

このカードの起源には諸説あって謎に包まれていますし、今のタロットカードのかたちになる前には「強力な概念」の数や名前が違うこともありました。しかし、これは逆に言うと、「ヨーロッパの人々が、遊びながら伝播させつつカードを淘汰して磨きぬいていき、『この22枚が世界に存在する強い概念だ』とだいたい意見が一致した」ということでもあります。口伝えに広まったり尾ひれがついたりしながらも現代まで残された神話のようなものですね。だから、「八卦」が易経や陰陽道の影響を受けた東洋の思想の宇宙観を表しているように、タロットはヨーロッパの人々に根付いている世界のとらえ方を表しているということができるのです。

このタロットのアルカナに象徴的に描かれたキャラや物語の概念、「元型」は現在日本のフィクションでもさまざまなかたちで引用されています。『ペルソナ』シリーズの特に3~5はキャラクターやストーリー展開が大アルカナにもとづいて構成されています。その他にも、タロットに表されているのは王道の物語類型なので、たとえ制作側が気にしていないストーリーにおいても象徴性を読み取る補助線としてとっても有用なのです。

 

22の螺旋階段

 また、これらのタロット大アルカナに描かれた概念は「この世のすべてを22の側面にあらわしたもの」であるだけでなく、その順番が人間が成長物語の中で出会う規範や限界、葛藤の、一連の流れをあらわしています。

たとえば、意識がはじまったばかりでなんにでも変われる小さな子供は、いろいろな挑戦で小さな目標を達成し(1魔術師)、そのうち落ち着いて心の声に耳を傾けることを覚え(2女教皇)、母なるものの偉大さを知った(3女帝)のちに父なる者の厳格さによって勝ち負けや是非を知り(4皇帝)、勝ち負けではない道徳や崇高なるものを示す権威と出会い(5法王)、それでやっと価値観を構築し「自分だけの選択」をする(6恋人たち)……といった具合です。

上で述べた1~6の流れが幼児や少年のライフステージであったことから予想がつくかもですが、最終盤のカード「審判」では「死んだ人たちが棺の中から蘇る、最後の審判」が描かれています。死んどるやんけ。このように、タロット大アルカナ22枚は人間が人生のいろいろな側面と出会い、行動しながら、魂を完成させていく一生の流れをあらわします。

が、しかし。タロット大アルカナの世界観は、何も持たない0からはじまり、世界のすべての調和に至る旅路ですが、それは実際には人の一生だけを表しているのではなく、人生の中で何周も繰り返される成長や問題解決の道筋の一周分をあらわしています。

バランスの調和に至った魂は、また新たな旅路を歩み、新たな問題に対して似たような葛藤を繰り返し、何度も成長していきます。毎年季節が繰り返すように。

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プレイヤーはこの紋章の輪がくるくると回るのを何百回と目にします。

 戦闘準備画面でも、「PLAYER PHASE」「ENEMY PHASE」と同じ感じで丸いインターフェイスの中心に炎の紋章(「21 世界」のアルカナ)が配置され、時計回りに刻々と回る演出が印象的です。時計回りの回転は人間の心理的に「世界の時が止まらずに進んでいく」ことを感じさせる効果があります。

「天刻の波動」システムや「5年後」「千年祭」というストーリー展開、月初めの中世風の暦絵など、今作には「時の運行」をプレイヤーに意識させる演出テーマがあります。また、丸い回転はとどまらず動きながら、同じ場所に還ります。タロットはこのような繰り返す世界の運行を描くものです。

 そして我々日本人の文化にとって「時」とは、季節が繰り返し、歴史が繰り返すように、年年歳歳同じ輪の運行を描いていくもののように感じられています。そういった意味で「はじまりに戻り、繰り返す」タロットは、「ただ一度の神の宇宙創造からただ一度の最後の審判まで」の直線の時間進行観をもつキリスト教世界から生まれたものの中でも日本文化に親和的なものといえるかもしれません。

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 「はじまりのもの」ソティスは千年にわたるレアの紡いだ時の繰り返しのすえに、主人公の中に新しく再誕するのです。

 

 

22の紋章の旅路

 それでは、ゲーム中の表示の順番に沿って各紋章とタロット大アルカナの対応をみていきましょう。

8番と11番に関しては版によって入れ替わることがあり、ここだけは判断が分かれるかもしれないところです。当方は普段は「8正義」「11力」の解釈をとっているのですが(『ペルソナ』シリーズはこちらの解釈にあたります)、『風花雪月』の場合は対応キャラクターの描写やテーマを見るに「8力」「11正義」のほう(ウェイト版)を採用しているようだと判断しました。

ひとつひとつのアルカナごとの今作と対応する意味合いの細かいことはそれぞれに記事を立てていますので、こちらは目次としてお使いください。ブログに記事を収録しているものは見出しに(記事更新)と記しています。

最初の方は書籍版のために書きおろすものが多いので「3女帝」からブログに記事あります。

 

0.愚者(エルネストの紋章)

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【来歴】失われた紋章

【対応キャラ】アンナ(、先生)

「炎の紋章」の「世界」のカードと同様に特別なアルカナです。

タロットカードゲームがトランプの原型になったときに「切り札」として唯一残されたのがこのカードであり、「ジョーカー」に描かれるピエロみたいなやつのもととなりました。

タロットの旅路自体を表し、ゼロ番またはナンバーをもたないカードであるため、どこにでも行く旅の主体……「主人公」をあらわすアルカナでもあり、「愚者」と「世界」最初と最後で接続してグルグル回るため、これは意味的には先生のカードでもあります。

『ペルソナ』シリーズの3~5では伝統的に主人公の旅路をあらわすアルカナで、「ワイルド」のカードとも呼ばれます。『ペルソナ5』では主人公のコードネームがズバリ「ジョーカー」でしたね。個別の読解は書籍版のかきおろしで。

 

1.魔術師(聖マクイルの紋章)

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【来歴】四聖人マクイル

【対応キャラ】風を呼ぶもの(、マヌエラ)

DLCを含めて「紋章をもった人間キャラ」が登場しない唯一の紋章です。でも帝国貴族にはよくある紋章のもよう。「風を呼ぶもの」はクロードの外伝マップに登場する聖マクイル本人(古代から存命中)の竜形態です。

平民の生まれのため紋章を持って生まれてはいないですが、ガルグ=マクスタッフの中ではマヌエラに対応して設定されているようで、ハンネマンとマヌエラの外伝ではハンネマンに対応する聖インデッハの名を冠した騎士団と聖マクイルの名を冠した騎士団がゲットできます。マヌエラの「奇跡の多才さ」「部屋汚さ」なども非常に「魔術師」の個性にかなり合致していて……?

マヌエラの魔術師個性のほか、聖マクイルの謎についても詳細は書籍版のかきおろしで。

 

2.女教皇(聖セイロスの紋章)

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【来歴】セイロス教開祖・聖セイロス

【対応キャラ】エーデルガルト、レア、ジェラルト、アルファルドら枢機卿、アドラステア皇家

レア(=神話の聖セイロスその人)が自分のファミリーとして力を与えた「セイロス聖教会枢機卿」「アドラステア帝国の皇族」のもつ紋章です。

ジェラルトも死にかけてたとこをレアの血によって蘇生し、聖セイロスの紋章に適合したためこの紋章をもっています。直接血を与えられたっぽいからかなのか、大紋章を持っていて古の十傑のように数百年ほとんど年をとらずに生きていました。

エーデルガルトやレアが「女教皇」というのは清楚なビジュアルのイメージとしてなんかわかるけど、あの大酒呑みのアバウトなヒゲおっさんが女教皇ぅ?と思われるかもしれませんが、実はジェラルトにもエーデルガルトやレアに込められた意味とはまた違う「女教皇」の重要な意味が込められています。個別の読解は書籍版のかきおろしで。

 

3.女帝(ドミニクの紋章)記事更新

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【来歴】十傑ドミニク

【対応キャラ】アネット

アネットのおじさん(つまりギルベルトの兄)が当主をつとめる王国貴族・ドミニク男爵家の紋章です。おじさんやギルベルトは紋章持ちではないもよう。アネットが本家に身を寄せていても跡取りとして担ぎ出されたりする気配がまるでないところをみると、ドミニク家の領地はゴーティエのようにどうしても英雄の遺産使いてえんだ!という差し迫ったことはなく平和な小さな領地のようですね。だから男爵家なんだし。

「家庭のおかあさん」「女性性の健康的なセクシーさ」「繁茂する自然の豊かさ」をあらわすアルカナで、4皇帝と対をなします。詳しくは個別記事で。

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4.皇帝(フラルダリウスの紋章)記事更新

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【来歴】十傑フラルダリウス

【対応キャラ】フェリクス、ロドリグ

王国の筆頭貴族であるフラルダリウス公爵家の紋章です。フェリクスの亡くなった兄グレンが紋章を持っていたかは不明です。

フェリクスは特に大紋章が発現しており、この紋章のもつ性質にすごく合致しているようです。

「家族の中の父役割」「否定し批判する父性」「世界を四角く切り分ける理屈」をあらわすアルカナで、3女帝と対をなします。詳しくは個別記事で。

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5.法王(聖ノアの紋章)

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【来歴】隠された聖人ノア

【対応キャラ】コンスタンツェ

フォドラから失われたと思われていた、帝国貴族・ヌーヴェル子爵家が古から秘匿してきた紋章です。ヌーヴェル家の祖(ないしょにしてた)である聖ノア本人が帝国の紋章血液検査をかいくぐって聖マクイルの紋章に見せかける秘術を開発していました。

ふつう「高い精神レベルへ教え導いてくれる存在」をあらわすので、そのままストレートにお出しされると先生とカブっちゃうし本編に登場する紋章として選ばれなかったということもあるでしょう。コンスタンツェに表れている描写もかなり変則的でトガっています。しかし、コンスタンツェの二重人格や力強い高笑いの奥底にも「法王」ならではの性質が……。個別の読解は書籍版のかきおろしで。

 

6.恋人たち(聖セスリーンの紋章)記事更新

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【来歴】四聖人セスリーン

【対応キャラ】リンハルト、フレン

ペルソナシリーズでは「恋愛」とも呼ばれるアルカナ。

帝国の内務卿ヘヴリング伯爵家をはじめ、複数の帝国貴族の家に継がれる紋章です。

紋章の中では「大紋章をもつ者がさして珍しくない」という逆に珍しい特徴をもちます。これは人に紋章を授けた四聖人セスリーン、すなわちフレンの特別な出生のために人間に適合しやすいのではないかと考えられます。そのせいでさらわれて抜かれたフレンの血がルミール村のヤバ実験に使われてしまうこととなったのですが……。

リンハルトもフレンも「眠り姫」であることも、「恋人たち」の意味と深くつながっています。詳しくは個別記事で。

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7.戦車(ダフネルの紋章)記事更新

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【来歴】十傑ダフネル

【対応キャラ】イングリット

同盟のもともとの四大貴族のひとつダフネル侯爵家と、ダフネル家から分家して王国に出奔した大紋章持ちを祖とするイングリットの実家、王国貴族ガラテア伯爵家の紋章です。

十傑の直系本家であるダフネル家は数代紋章持ちが出ておらず、現在の当主「ダフネルの烈女」ジュディットも紋章を持っていません。ガラテア家でも紋章はほとんど絶えておりイングリットが珍しく生まれた紋章持ちの跡取りとして期待されています。

「将来を嘱望された若者の、週刊少年ジャンプ的な勝利と躍進」をあらわすアルカナであるため、ここ最近の時代の複雑微妙なフォドラ情勢にはそぐわない気質であるということなのかもしれません。実際、イングリットも社会の中でかなり悩み苦しんでいます。詳しくは個別記事で。

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8.力(ブレーダッドの紋章)

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【来歴】十傑ブレーダッド

【対応キャラ】ディミトリ、ファーガス王家

鷲獅子戦争で帝国からの独立を勝ち取った獅子王ルーグを中興の祖とする貴族ブレーダッド家、ファーガス王家の紋章です。

ルーグや青獅子の学級、ディミトリを象徴する「獅子」がカードに描かれていますが、この獅子は人間の中にある「獣性」の荒ぶる力を意味します。しかし、カードの名前になっている「力」とはこの獅子の爪の力自体のことではなく、それを手懐けている女性の力のほうのことです。彼女は「忍耐する理性」という美徳を擬人化した存在です。ディミトリのストーリーっぽいでしょ。

また、この『美女と野獣』の構図は「ディミトリとドゥドゥー」のセットで描かれているものでもあり、個別読解では彼らの関係の意味も扱っていきます。個別の読解は書籍版のかきおろしで。

 

9.隠者(グロスタールの紋章)記事更新

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【来歴】十傑グロスタール

【対応キャラ】ローレンツ、リシテア

同盟の四大貴族のひとつグロスタール伯爵家の紋章です。リシテアは珍しい大紋章を持っていますが、「闇に蠢く者」たちの実験により後天的に付与されたもよう。

リシテアはともかくローレンツはとても「隠者」というカードがストレートにあらわす「世捨て人」「世俗の評価を気にしない内向的な仙人」には見えませんが、彼の価値観や性格をよくよく見てみると、根底には「隠者」の内省が……。詳しくは個別記事で。

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10.運命の輪(ゴネリルの紋章)記事更新

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【来歴】十傑ゴネリル

【対応キャラ】ヒルダ

同盟の四大貴族のひとつゴネリル公爵家の紋章です。ヒルダには名将として名を馳せている兄ホルストがいますが、彼はゴネリルの紋章持ちではないとのこと。まあ性格だいぶ違う真面目な兄貴なので、ゴネリル家の姻戚の他家の血筋から遺伝した別の紋章を持っているのでしょう。

「ときに残酷な運命の運行」「タイミング」をあらわし、ヒルダは運命に対する感覚が鋭いためにおねだりがうまく、また面倒くさがりの省エネ女子になっているというわけです。詳しくは個別記事で。

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11.正義(聖キッホルの紋章)記事更新

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【来歴】四聖人キッホル

【対応キャラ】フェルディナント、セテス

帝国宰相を世襲する筆頭貴族・エーギル家の紋章です。エーギル家の姻戚にも紋章が発現する貴族の家は多くあると考えられますが、観測史上小紋章しか発現したことはなく、セテス(=聖キッホル本人)しか大紋章をもちません。

そのくらい「公平な正義」をもつのは人間には非常に難しいということでしょう。カードに描かれている剣と天秤を持った女性は「力」に描かれた女性と同じく公平な正義という美徳を擬人化した存在で、女神アストライアーであると言われます。

このアルカナに描かれた「正義」とは絶対のものではなく、常に揺れ動く臨機応変なものです。フェルディナントという単純明快なように見えて難解なキャラクターにあらわれた「正義」のありようについて、詳しくは個別記事で。

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12.吊られた男(オーバンの紋章)

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【来歴】隠された聖人オーバン

【対応キャラ】ユーリス

ペルソナシリーズでは「刑死者」とも呼ばれるアルカナ。

わりと最近まで存命であった聖人(レア、セテス等と同様古代竜種である女神の眷属)オーバンが数百年間社会から身を隠して放浪していたため、フォドラからは失われたと思われていた紋章です。

聖オーバンとみられるじいさんはユーリスが流行り病で死にかけた際に血を与えて蘇生させたとみられ、ユーリスが元気になったのと入れ替わりに死んでしまいました。そのときにユーリスにはオーバンの大紋章が宿ったようです。

「誰かのために聖なる犠牲となる」吊られた男の意味は聖オーバンだけでなくユーリスにも共通します。これはヨーロッパ文化においては神の子イエスが地上の罪を贖って刑死したイメージと強く結びついています。つまりこれも「救い主としての主人公」性の強いアルカナであり、本編に入れない紋章に選ばれたのもDLCのストーリーのメインとなる級長に選ばれたのもわかります。個別の読解は書籍版のかきおろしで。

 

13.死神(ゴーティエの紋章)記事更新

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【来歴】十傑ゴーティエ

【対応キャラ】シルヴァン、ゴーティエ辺境伯

王国貴族・ゴーティエ辺境伯家の紋章です。北方の異民族スレンに圧倒的な力を見せつけて対応するため、ゴーティエ辺境伯家では英雄の遺産を使える紋章持ちの跡継ぎが特に必要とされてきました。

ゴーティエの紋章はプレイヤーに「紋章や英雄の遺産の恐ろしい謎」「この世界の紋章主義社会の歪み」を伝える役割を果たしています。このアルカナは直接的な死だけでなく、「限界との直面」をあらわします。

ゴーティエとシルヴァンにはこれでもかと限界直面の「ヒェッ……」が詰め込まれています。詳しくは個別記事で。

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14.節制(聖インデッハの紋章)記事更新

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【来歴】四聖人インデッハ

【対応キャラ】ベルナデッタ、ハンネマン、動かざる重きもの

帝国の教務卿ヴァーリ伯爵家をはじめ、複数の帝国貴族の家に継がれる紋章です。

「動かざる重きもの」はリンハルト&レオニーの外伝マップに登場する聖インデッハ本人(古代から存命中)の竜形態です。カメさんのような姿をしており、ベルナデッタやその後のヴァーリ家の異名「穴熊ヴァーリ」は聖インデッハの紋章の性質であるとわかります。

「節制」は清らかなラッキー・カードのように見えますが、「インドアで対人関係が苦手で多趣味」という聖インデッハの紋章の性質は「節制」アルカナの根本的な意味に関係していて……。詳しくは個別記事で。

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15.悪魔(獣の紋章)記事更新

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【来歴】抹消された英雄モーリス

【対応キャラ】マリアンヌ

古の十傑とともにネメシスの下について戦った英雄モーリスが持っていた紋章です。

モーリスは十傑と同様に強い力で一族を繁栄させましたが、あるとき紋章のもつ力に負け魔獣となって人を殺すようになりました。それ以来モーリスの持っていた紋章は「獣の紋章」と呼ばれ、その血筋は忌まわしいものとして隠されるようになりました。その紋章を継いでいた家のひとつが、マリアンヌの父の家でした。

「力に負けてしまった」というのも、ディミトリのもつブレーダッドの紋章(「力」のアルカナ)が「制御が難しいほどの怪力」という性質をもつように、獣の紋章と「悪魔」のアルカナの性質です。物静かでダウナーなマリアンヌは一体どのような誘惑に負けそうなのでしょうか? 詳しくは個別記事で。

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16.塔(カロンの紋章)記事更新

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【来歴】十傑カロン

【対応キャラ】カトリーヌ、リシテア

王国の名門貴族・カロン伯爵家の紋章です。長い歴史の中で当然遠くの家とも姻戚関係が結ばれるため、リシテアは同盟貴族ですがカロンの小紋章を生まれ持っているようです。

「驕り」や「堅牢な枠組みへの妄信」が、神の恵みである雷霆アタックによって打ち砕かれ更地と化すことをあらわすアルカナです。これは『風花雪月』のストーリーの中ではガルグ=マク大修道院の大聖堂が壊れ瓦礫まみれになることとも対応しています。詳しくは個別記事で。

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17.星(ティモテの紋章)

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【来歴】隠された聖人ティモテ

【対応キャラ】ハピ

聖人(レア、セテス等と同様古代竜種である女神の眷属)ティモテがセイロス教の秩序の届かぬ森の奥に隠棲したため、フォドラからは失われたと思われていた紋章です。森の奥の隠れ里には聖ティモテ本人あるいは聖ティモテに血を分け与えられた人間の子孫がまったりのんびり暮らしており、ハピもその一人でした。

「星」アルカナは『ペルソナ5』を象徴するアルカナにも設定されており、「正義や秩序が崩壊したあとの暗闇に輝く、小さな希望の光」をあらわします。闇が濃い混迷のときにまだ弱い英雄が現れるように。つまりこれもかなり「主人公」感の強いアルカナであり、本編にキャラを登場させなかったのもうなずけます。

でもハピにはぜんぜん主人公感ないですよね。ハピに表現された「星」の意味の深い部分について、個別の読解は書籍版のかきおろしで。

 

18.月(リーガンの紋章)記事更新

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【来歴】十傑リーガン

【対応キャラ】クロード

同盟の四大貴族のひとつリーガン公爵家の紋章です。クロードはリーガン公爵家から家出してなんとパルミラ王妃となったハチャメチャな母親ティアナからこの紋章の遺伝子を継いでいたため、「突然異国からやってきた孫を名乗る不審者(本当に孫だけど)」だったけど嫡子として家に入ることに成功しました。

クロードは自分を評して「猜疑心の塊」とかドギツイことを言ってきます。この言葉がすでに彼の「月」アルカナの性質をバシバシに示してきていました。詳しくは個別記事で。

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19.太陽(シュヴァリエの紋章)

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【来歴】隠された聖人シュヴァリエ

【対応キャラ】バルタザール

聖人(レア、セテス等と同様古代竜種である女神の眷属)シュヴァリエがフォドラの喉元の山奥に隠棲したため、フォドラからは失われたと思われていた紋章です。山奥には聖シュヴァリエに血を分け与えられた人間の子孫がセイロス教の秩序からは離れて暮らし「山の民クパーラ」と呼ばれています。バルタザールの母親がそこの出身でした。

圧倒的な「ハッピーエンド」の光を放つ、かなり力の強いアルカナであるため、確かに本編に組み込んでは使いづらいだろうなとおもいます。ちなみに本編では紋章持ちではないものの「騎士団の太陽」アロイスがこのアルカナの性質のひとつ「幸せな家庭をもつこと」を象徴しています。個別の読解は書籍版のかきおろしで。

 

20.審判(ラミーヌの紋章)

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【来歴】十傑ラミーヌ

【対応キャラ】メルセデス、イエリッツァ(エミール)

おそらく王国の貴族にラミーヌ直系の家が存在した、あるいは今も存在しているはずですが、発現がかなり珍しくなっているとみられる紋章です。王都の宝物庫から火事場泥棒した盗賊がラミーヌの紋章に対応する武器「タスラムの弓」を持っています。

その珍しい紋章をおそらく帝国貴族であったメルセデスの母が継いでおり、彼女と子供のメルセデス、エミールは紋章と紋章主義貴族社会のせいで受難の人生を歩むことになりました。「どうすることもできない既定運命に従う受動性」や、メルセデス独特の「流されているのに心は折れない」不思議にすがすがしい精神性をあらわすアルカナです。詳しくは個別記事で。

 

21.世界(炎の紋章)

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【来歴】解放王ネメシス(神祖ソティス)

【対応キャラ】主人公先生、エーデルガルト、ソティス、ネメシス

フォドラの歴史において解放王ネメシス以外で観測されたことのなかった特別な紋章です。また、ネメシスの血筋は絶えているもようです。「闇に蠢く者」たちが死んだネメシスのサンプルを冷凍保存みたいにして保持しており、それを組み込まれて死んだり病んだりしたたくさんのアドラステア皇家のきょうだいたちの中でエーデルガルトだけが適合しました。

「愚者」が「何者でもない」をあらわす特別なアルカナだったのに対し、「世界」は「すべてである」をあらわす特別なアルカナであるため、『ファイアーエムブレム』シリーズの象徴「炎の紋章」を当てられています。炎の紋章の説明にも「すべてを司る」と書かれています。

「すべて」とはここまで1~20まで見てきたアルカナに表される世界の理だけではなく、現在過去未来の時間をも含みます。『ジョジョの奇妙な冒険』第三部のスタンドもタロット大アルカナをモチーフとしていますが、ディオのスタンド「ザ・ワールド」は先生の「天刻の波動」と同様に時を操る能力をもちます。

個別の読解は書籍版のかきおろしで。

www.homeshika.work

 

 

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