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ペルソナ3リロード 総攻撃の英文の意味とキャラテーマとの関わり

本稿は『ペルソナ3リロード』の総攻撃フィニッシュイラストでキャラクターごとに表示される英文の意味と、各キャラクターのテーマとの関わりを読み解いています。

作品の具体的な展開のネタバレはありませんが、作品テーマ的なネタは解説するので気になる方はご注意ください。

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ペルソナ選択メニューに重なる英文の意味は↑こちら↑

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ペルソナシリーズのキャラクター表現とタロット大アルカナの対応を読み解く連載中の記事シリーズは↑こちら↑から。

 

総攻撃フィニッシュの英字と意味

『ペルソナ3リロード』の総攻撃フィニッシュイラストには、このように各キャラごとに違う英文がデザインされています。ちなみに、戦闘BGM(いわゆるベイベベイベ)のタイトル『MASS DESTRUCTION』は全員に共通して入っていますね。

こういうキメ絵はペルソナ5から逆輸入されたキャラゲー的にカッコいい要素です。杏さんの総攻撃フィニッシュは「omg! We are awesome!(ヤバ!ウチら最高じゃない!?)」などと書いてありますね。

ただ、ペルソナ5より今回のほうがちょっとだけ言い回しが慣用句的になってたりしてわかりにくいので、本記事でおおまかな意味をとってキャラを味わう足しにしてください。

キャラと言葉の対応だけだととりあえず↓この目次↓のとおりです。

それぞれの言葉の和訳と意味、キャラテーマとのかかわりなど詳しくは見出しごとに読解していきます。

 

主人公 "DONE AND DUSTED."

 ややイギリス英語的なスラングで「すっかり終わったよ」

"done"がdoの過去分詞として「やってある」「もう終わった」の意味であることは日本でもよく共有されていますね。そこに"dusted"、dustつまりホコリの動詞過去分詞を重ねることで「ほこりを払うとこまでキレイに片づけてやったぜ」のニュアンスで使われています。シチュエーションはちょっと違いますが日本語でいう「一掃」と似た言葉の使い方ですね。

 また、慣用句的な意味からは外れるのですが、「死」をテーマとするペルソナ3の主人公に"dusted"の言葉が使われることには"ASHES TO ASHES, DUST TO DUST.(灰は灰に、塵は塵に)"という有名な祈祷文が連想されます。これは聖書の創世記からとられた祈句で、

お前は顔に汗を流してパンを得る。土に返るときまで。お前がそこから取られた土に。塵にすぎないお前は塵に返る。

―創世記3章19節

という、知恵の実を食べてしまったアダムとエバを楽園から追い出すときに神が告げた言葉に由来しています。生きている間ずっと労働したり苦悩したりして生き、いずれ必ず死んで塵に還るべき人間のいのちの運命の宣告です。知恵の実を食べた旅人は、その瞬間より旅人となった……。

シャドウたちを塵に還しつつ、常にそこにある自分の死も当たり前に意識する……そういうペルソナ3主人公らしい静かさのあるデザインです。

 

ゆかり "THERE YOU HAVE IT."

 英語スラングで「はい、終了!」「これでいいでしょ」

「これで全部!」「まッそういうことです」「チャンチャン」のような、やや投げっぱなしというかナマイキな感のある「切り」の文句です。

さすがゆかり、挑発的かわいさ。

 

順平 "THAT'S THE GAME!"

 英語でいう「ゲームセット!」「試合終了!」

順平は剣の構えも完全に野球バットなわけですが、野球の試合とかだと英語ではゲームセットのことを"The game's over."(このフレーズはペルソナ5ロイヤルのチャンスエンカウント曲にも使われていましたね)やこのように言います。

また、順平がシャドウとの戦いをビデオゲームのようにヒーローになれる「ゲーム」だと思っている軽薄さをいちいち表示してくれてもいて、たいへん「魔術師」アルカナらしいです。「魔術師」アルカナのキャラ表現については↓こちらの記事↓でも。

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真田 "ON TO THE NEXT BOUT."

 英語で「次だ」「次なる試合へ」

格闘技の試合のことは順平の野球のように「ゲーム」ではなく「バウト」と呼ばれることが知られています。激アツ対戦のことを「ベストバウト」とか近年よく聞くようになりましたね。

"go on to the next~"は「次の仕事へ行くぞ」「次の議題に移ろう」のように仕事を片付けていくというか、シャキシャキ処理して先へ進む感があり、真田らしく「皇帝」アルカナらしい稲刈り機みが感じられます。「皇帝」アルカナのキャラ表現については↓こちらの記事↓でも。

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美鶴 "KNEEL BEFORE ME."

 英語で「我が前に跪(ひざまず)け」

"knee(ニー)"がヒザであることは日本でもよく使われているので知られています。"kneel(ニール)"は膝をつくという動詞なわけですね。"before"は時間や行動順序的な意味での「まえ」に使うことが多いのですが、位置的な前方でも使います。

美鶴さんはアクションボイスでも「跪け!」って言うことがあるのでそのままですね。アングルも跪いた側目線でアオリ。ご褒美。

 

アイギス"TARGET NEUTRALIZED."

 英語で「目標、制圧であります」

ご存知「ロウ」「カオス」「ニュートラル」のニュートラルは中性という意味なので、「中性化」つまり「中和」を意味する"neutralize"。暴徒などの制圧、鎮圧も意味しているというわけです。

 

コロマル"WOOF! WOOF! WOOF!"

 もちろん「わん! わん! わん!」

コロさんはかっこよくてかわいいですね

 

天田 "DON'T LOOK DOWN ON ME."

 英語で「見くびらないでください」「なめるなよ」

そのまま直訳しても「見下ろすな」なのでわかりやすいですね。「見下ろす」「見上げる」が単に目線の方向だけでなく軽蔑や尊敬を意味するのは日本語と同じです。

もちろん、まだ背が小さく尻餅をついた天田が物理的に見下ろされる視線を「小さいからって見下ろして子供扱いしないでください!」と気にしていることも伝わってきます。

 

荒垣 "DON'T WASTE YOUR BREATH."

 英語で「無駄口叩くな」「その口閉じやがれ」

"breath(ブレス)"は息なので、直訳すると「息を無駄にするな」。「無駄にピーチクパーチク二酸化炭素吐いてんじゃねえぞ、黙れ」というわけです。

しかし荒垣をバックに"breath"と言われると、慣用句的な意味を超えて「命の息吹」という意味が連想されてくる感じもあります。連想にすぎないですけどね。つまり「命を粗末にすんじゃねえ」「息してる今を無駄にすんなよ」などと……。

荒垣のキャラ読解については↓こちらの記事↓もどうぞ。

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