湖底より愛とかこめて

ときおり転がります

「魔術師」アルカナのキャラモチーフ―ぺるたろ①

本稿はゲーム『ペルソナ』シリーズとユング心理学、タロットカードの世界観と同作の共通したテーマキャラクター造形とタロット大アルカナの対応について整理・紹介していく記事シリーズ、略して「ぺるたろ」の「魔術師(ⅠTHE MAGICIAN)」のアルカナの記事です。歴代の「魔術師」アルカナのキャラ、綾瀬優香、伊織順平、友近健二、花村陽介、モルガナの描写の中のタロットのモチーフを読み解きます。目次記事はこちら。

 

『女神異聞録ペルソナ』『ペルソナ2罪』『ペルソナ2罰』『ペルソナ3』『ペルソナ4』『ペルソナ5』およびこれらの派生タイトルのストーリーや設定のネタバレを含みます。今回の記事では『4』『5』で指定されたことのある公式のネタバレ禁止区域に関するネタバレは含みません。

ちなみに筆者はシリーズナンバリングタイトルはやってるけど派生作品はQとかUとかはやってない、くらいの感じのフンワリライト食感なプレイヤーです。

↓前置きにペルソナシリーズとユング心理学とタロットの関わりの話もしています↓

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ペルソナ5ザ・ロイヤルのリマスター発売記念に冒頭の読み取り番組をYouTubeで配信しました。重くてセリフが早送りにズレてしまってるアーカイブはこちらから。

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 以下、タロットとユング心理学の関わりや大アルカナの寓意についての記述は、辛島宜夫『タロット占いの秘密』(二見書房・1974年)、サリー・ニコルズ著 秋山さと子、若山隆良訳『ユングとタロット 元型の旅』(新思索社・2001年)、井上教子『タロットの歴史』(山川出版社・2014年)、レイチェル・ポラック著 伊泉龍一訳『タロットの書 叡智の78の段階』(フォーテュナ・2014年)、鏡リュウジ『タロットの秘密』(講談社・2017年)、鏡リュウジ『鏡リュウジの実践タロット・リーディング』(朝日新聞出版・2017年)、アンソニー・ルイス著 片桐晶訳『完全版 タロット事典』(朝日新聞出版・2018年)、鏡リュウジ責任編集『総特集*タロットの世界』(青土社・ユリイカ12月臨時増刊号第53巻14号・2021年)、アトラス『ペルソナ3』(2006年)、アトラス『ペルソナ3フェス』(2007年)、アトラス『ペルソナ4』(2009年)、アトラス『ペルソナ5』(2016年)、アトラス/コーエーテクモゲームス『ペルソナ5 スクランブル』(2020年)などを参考として当方が独自に解釈したものです。

風花雪月の紋章のタロット読解本、ちょっと再入荷しました。

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『ペルソナ』シリーズの中の「魔術師」アルカナ

 ペルソナシリーズは第一作『女神異聞録ペルソナ』からタロット大アルカナになぞらえてキャラクターをデザインしてきました。特に一作で大アルカナすべてにキャラクターが当てられるようになったペルソナ3以降は「今回の〇〇アルカナ枠」みたいな「キャラ枠」の見方をすることができるようになってて、ある程度役割の文脈をみることができます。戦隊ヒーローで赤がリーダー主人公みたいなやつ。

その「役割の文脈」の中でも特に、「主人公」に次ぐ重要なお決まりの役割を果たすのが、「魔術師」のアルカナのキャラクターです。

以降、当方が考える『ペルソナ』シリーズの作中で「魔術師」アルカナモチーフとして描写されてるっぽい重要なところ赤字で表記します。

 

 ペルソナシリーズにおいて「魔術師」アルカナのキャラクターが担っている重要な役割は大きく分けてふたつ。「はじまり」「起点」「基本のキ」であることと、ある意味での「もうひとりの主人公」であることです。

この二つも根っこはつながってるんですけど。

モルガナや陽介のように物語を駆動する最初のエンジンとなり、アヤセや順平のように「等身大の青少年代表」として異様な状況に驚き戸惑い、プレイヤーに並走する存在である、愛すべき歴代「魔術師」キャラクターの土台を読み解いていきましょう。

 

「魔術師」の元型

 まずはカードを見てみましょう。

 左が一般的に「マルセイユ版」と呼ばれるもののひとつ、右が「ウェイト版(ライダー版)」と呼ばれるデッキの「魔術師」のカードです。

そして『ペルソナ3』『ペルソナ4』で使われたオリジナルデザインのカードがおおむねこんな感じ(ぼのぼのさんの作成。ゲームで使用されたデザインそのままではありません)。このオリジナルデザインのことを以降便宜的に「ペルソナ版タロット」と呼びますね。

『ペルソナ5』ではUI全体のデザインに合わせマルセイユ版をベースとしたカードに変わってますが、ペルソナ版タロットはかなり大胆にシンプル化するアレンジがされているので、制作側がカードの本質をどうとらえているのかがダイレクトに伝わっくる~~。

陽介のこれは魔術師ポーズなワケ。うさんくさい。

"魔術師"は創造、そして積極性…だが、未熟さを表すカードでもあります。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「魔術師」のアルカナはナンバーが「1」であり、「はじまり」を意味しています。ペルソナ版タロットの下の方に描いてある両手が、マルセイユ版・ウェイト版両方に描いてある魔術師だか手品師だかの若者の手であり、彼の手からは奇術のように新たなものが創造されます。マルセイユ版・ウェイト版で机の上に魔術の材料がゴロゴロ置いてあるのの代わりに、ペルソナ版には「炎」が描いてあります。おそらくこの炎は人間の技術がポンと作り出す魔法の象徴なんでしょう。

そしてペルソナ版のほうではさらに、手からエネルギーが滔滔と湧きあがりまくっているのがわかります。炎だってエネルギーのかたまりなのにまだ出んのかよ。「魔術師」はものすごいエネルギーを一方向に放出して止まんねえ「魔法の杖」なのです。

ただし、そのエネルギーで何を達成するのか、善に向かうのか悪に向かうのかを考える段階では、まだありません。暴力的な不機嫌その場しのぎの屁理屈ペテンに陥ることもあります。そういう幼さと危うさをもったカードです。

 

力・行為のアニムス/永遠の少年

 タロット大アルカナの中でも「最初のほう」、つまり1番~7番くらいまでの段階のカードは特に誰でも覚えがある神話的な人物像(ユング心理学では「元型」と呼びます。ユング心理学や元型とペルソナシリーズの関わりについて詳しくはこちら)が描かれていてわかりやすく個性的なため、『ペルソナ』シリーズの仲間キャラクターは伝統的にこれらの神話的な元型から作られています。パンチがきいてて誰にでもわかりやすいからな。

そのユング心理学の元型でいうと、「魔術師」アルカナのキャラクターは「力のアニムス」「行為のアニムス」「永遠の少年」あたりを内包しています。また、「愚者」アルカナと同様の「トリックスター」でもあります。

 

 この記事はユング心理学メインの記事じゃないのでサラッとやるのですが、「アニムス」とは一言で言うと「(女性の)心の中にある男性イメージ」のことです。逆のものは「アニマ」。

女性の心の中の、と定義されてはいますが、要は「男性ジェンダーらしい"よさ"ってこういうものだよな」とみんながイメージしている像のことです。「魔術師」アルカナや、あと「戦車」アルカナの場合、「若き英雄」像にあたります。「力のアニムス」は若々しくパワーみなぎる肉体やバイタリティを意味し、「行為のアニムス」は行動力や意志、向こう見ずな勇気を意味します。ただ、その力がなんのために鍛えられてるのかとか振るわれるのか、なんのために一歩を踏み出すのか、そういう精神的な長期目標はやっぱりまだ考慮に入ってません

 そして「永遠の少年」はなんか、言わんでもわりとわかりますね。日本の昔話や神話にも多く見られる「童子英雄」もこれにあたります。子どもだけが持つみずみずしいエネルギーやトリッキーな戦法、神がかった力、周囲を惹きつける純粋な魅力をずっと曇らせず持ち続ける麦わらのルフィのような人物像です。しかし、こういう人物像にはいつまでもフワフワと夢と冒険を追い求めていたくて、社会の中の自分の居場所に落ち着くことができないという性質もあるのです。

こういう性質、「ピーターパン・シンドローム」こそが、「魔術師」アルカナのキャラクターが「現代の若者が大人になっていく」ジュブナイルの冒険を描く『ペルソナ』シリーズで重要な立ち位置を与えられていることのカギです。

歴代の「魔術師」キャラたちは、われわれプレイヤーみんなが持っている「大人になれなさ」の鏡なのです。

 

『女神異聞録ペルソナ』アヤセ

 綾瀬優香、通称アヤセ。高校二年生で主人公の同級生。彼女は96年当時流行語であった「コギャル」です。

本来、女子大生や若い社会人女性がイケイケして「ギャル」と呼ばれていたのに似たイケイケ文化が女子高生にもブレイクしてそう呼ばれるようになりました。当時、女子高生ギャルたちの間では制服の着崩しやルーズソックス、「チョベリバ(超ベリーバッド)」「~ってカンジ」といった言葉遣いなどの独自のコギャル文化が花開きました。もはや歴史解説だよ。

時代性の強いキャラを作ると作品の賞味期限が短くなっちゃうだろ! と心配になりもするのですが、しかし今見るとかえって、「当時の若者に流行ったコギャルである」というのはまさしくわかりやすい「ペルソナ」であるといえます。「周りで流行っているロールモデルに合わせる」というのは若者の処世の一番の基本だからです。「魔術師」のキャラクターたちは軽薄で、自分を見つめた長期ビジョンがまだなくても、とりあえず表面的には社会に適応して社交的に楽しくやっています

たとえその行動や人間関係が薄っぺらでも、何事もまずはそっからですよ。

 

トラブルメーカー

 アヤセはコギャルらしく「とりあえず今が楽しければそれでいーじゃん」という刹那的・享楽的な振る舞いを見せます。そのため調子がよくワガママ思ったことをすぐ口に出してしまうという悪癖でトラブルを巻き起こします。

作中では、アヤセは自分に好意を寄せる男子(通称トロ)を言葉を選ばずこっぴどくフッてしまい、それがこじれてなんかあの……こんな感じになってしまいました。

自由奔放なトラブルメーカーキャラには「魔術師」の「まだ長期ビジョンが持てない」「あふれ出るパワーの杖」の性質があらわれてますし、「魔術師」が「はじまり」「創造」をするものは良いものとは限りません。アヤセがトラブルを起こすことでストーリーにエンジンがかかっていくのですから魔術師の面目躍如ってカンジ~。マジでマジで~。

 

自己からの逃走

 アヤセは、上でアレなことになっているトロくんをフッたとき、「あんたっていつもヘラヘラしてて何が楽しくて生きてるわけ?」といった感じの辛辣な言葉で彼を傷つけました。しかし、逆にトロくんもアヤセのことを「楽しくもないのに笑っている」「一人になるのが怖いからみんなに合わせているだけ」とかそんな感じに言い、アヤセはカッとなってトロくんにさらなるムチャクチャな暴言を吐きました。完全に図星だったからです。

人が傷つき取り乱すのは「目をそらしている不都合な自分」、つまりシャドウを指摘されたときです。そして若者や、自分について知ることを避けている人にはよくあることですが、そういう都合の悪い自分のシャドウは自分の中に見出すのが怖いから、他人の中に見出して同族嫌悪したり、他者を攻撃するときに無意識に「自分が最も言われたくない言葉」をぶつけたりするのです。『ペルソナ』シリーズに特徴的な若者たちのぶつかり合いの「生々しい痛さ」のキモはずっとここにあります。

また、アヤセがいいかげんに生きているのは他の多くのパーティーメンバーと違って「どうしても好きなもの」「将来なりたい自分像」「取り柄」のようなものがなく「自分は『女子高生』じゃなくなったらどうなっちゃうんだ? 何をしていくんだ? 決められないけど時間は過ぎていく」という悩みから逃避するためでもあります。いろいろ考えているがゆえに、何も考えてないフリをしているのです。

 

 「周りに合わせてヘラヘラする」「何者になるか決められない」というアヤセの「魔術師」の性質は同じ根でつながっています。それは永遠の少年、つまり、大人になるのが怖いのです。

周りと違うことを主張しなければ、ずっと「みんな」の輪の中で守られていられます。おバカで軽薄なギャルだと言われることなんかより、自分の本心を表明して否定されることのほうがずっとキッツいはずです。何にも本気で取り組まなければ、いつまでも「まだ本気出してないだけだし」と言ってプライドを守っていられます。自分は何者になるんだ!と選んでしまったら、なんにでもなれる人生を捨ててしまうことになります。

でも、「自分はこうだ」と真剣に選ぼうとしない者は、本当の友達を作ることも、大人になっていくこともできません。

これがまさしく「大人になることに戸惑うイマドキの若者たちが、仲間とともに社会と向き合う仮面を選んでいくことで、自分らしい人生を得る」という『ペルソナ』シリーズのテーマそのものであり、アヤセの成長物語はその「はじまり」「基礎」を描いています。

 

 異聞録を初めてプレイするプレイヤーがアヤセをパーティーメンバーにする可能性はかなり低いですし、「魔術師」キャラの中では唯一の女性であり見落とされがちでもあります。しかしこういうわけでアヤセは『ペルソナ』のテーマを最も端的に表現しているキャラともいえて、『ペルソナ3』『ペルソナ4』の印象的な男親友キャラたちの人物像にダイレクトにつながっています。

 

『ペルソナ3』伊織順平

 伊織順平、高校二年生で主人公のクラスメイト、ペルソナ使いの仲間です。ちなみに彼のペルソナ「ヘルメス」は「魔術師」が表している少年のずる賢さ、軽々な行動力、口のうまさなどを司る、アルカナにバッチリフィットした元型のギリシャ神です。

明るくおしゃべりでおちゃらけたムードメーカー。デザインヒゲや制服アレンジなどオシャレにもかなり気をつかっています。「無口で反応が淡泊な主人公の代わりにリアクションをとり、状況を説明する」というペルソナ3~5の相棒キャラ枠の礎を築いた記念すべきキャラクターです。アヤセから「等身大の若者らしさ」担当もしっかり引き継いでおり、チャラけた男子としてスケベ担当も担い、ボケもツッコミもこなす名言メーカー。

ただし、同時にアヤセ以上のトラブルメーカー……というか、ギスギスメーカーでもあり、「ペルソナ4、5と比べるとペルソナ3は仲間がギスギスしていてきつかった」という思い出の5割はこいつのおかげ。

しかし、彼の存在が心の痛いところをザリザリしてくるのは、やはり彼が「われわれの見たくない自分自身」を見つめる成長を遂げる、もう一人の主人公だからであり……。

 

お調子者

 順平を一言で言い表すなら「お調子者」。アヤセのように空気に合わせてヘラヘラするのはもちろん、調子に乗るのが得意です。特に男子社会だと「陽キャ」のペルソナをつけて生きる場合ガンガン命知らずに調子に乗っていくことがよしとされますからね(その後ズッコケてイジられるのも含めて)。

この「魔術師」の調子乗り、適度に調子いいときはゴキゲンないい奴なのですが、調子よすぎると出過ぎてピンチになるフラグだし、調子落ちてくると不穏ムード出してくるしで、これがギスギスメーカー順平だ! さすが飽きさせない!(ペルソナ3は「楽しい学生生活」というより「緊張と安堵の繰り返し」みたいなプレイ感です)

順平はアヤセと同じく何も考えてないようでいろいろ思い悩んでいるので、そのお調子のアップダウンはかなりのものです。特別な力の使い手としてスカウトされ秘密のヒーローになれるんだと周囲にドヤったかと思えば、主人公がさらに特別な力の持ち主でリーダーに抜擢されると拍子抜け、表面上はおどけてふざけて友達として過ごしますがジワジワと嫉妬をこじらせます。一方で、そのへんが未解決でくすぶっていても、かわいい謎の女の子と仲良くなれそうとなるとドキドキソワソワ一生懸命に。その浮き沈みのエネルギーを、順平自身はコントロールすることができません。まるで熱気が立ち昇ったり、火が消えたりするように。それがプレイヤーにストレスを与えることも。

趣味に関しても熱しやすく冷めやすく、打ち込めるものはなくいろいろなものに手を出しては飽きています。

自分の機嫌をコントロールできないとは順平はまだまだ子供だなあ、まあ高校生だしな、という幼児性とみることもできますが、それだけ順平は自分の気持ちに敏感で素直で、つい軽々に人に当たってしまうこともあるけれど、走り出したいときに迷わない男であるとも描かれています。

 また、この「お調子者」「アップダウン」「不機嫌で人に当たる」という性質の負の部分は順平の父の設定にも表されています。順平はいつもおちゃらけてゴキゲンでいたいのでめったに家族の話をしません。楽しい居場所ではないからです。順平の父はいっときは成功者となりましたが、調子に乗った投機で財産を失い、以降酒に溺れてときにDVをはたらくなどして、順平に嫌われ避けられています。「男は強くなくちゃ、成功してなくちゃ」という視野の狭い男らしさ意識は順平にも共通しているものです。

DV父を嫌うのはそりゃ当然ですが、順平にとって父親は「見たくない自分」「なりたくない自分」だから直視したくないのでしょう。

 

きっと何者にもなれない

 ペルソナ3では、ペルソナ能力は「死」や「限界」と向き合い「自分は本当はどんな自分でありたいのか?」と意識したときに目覚めます。順平は成功や失敗に振り回されてダメになってしまった父親を避けて家に帰りづらくなり、夜中の街をうろついていたところで、ペルソナ能力を見出されました。おそらく、そのとき「親父みたいになりたくない、何者かになりたい」「でも、自分には特別”どうなりたい”なんてない」ということに葛藤したのでしょう。

ペルソナ使いにスカウトされた順平は「これで自分はヒーローになれる、『特別な何者か』になれるんだ」と実に意気揚々と寮にやってきますが、先述のように早々にもっとすごい主人公が現れて「ヒーロー」「特別な何者か」にはなれませんでした。主人公に対して嫉妬し不機嫌になったり爆発したり謝ったり忙しくしますが、そうしていくうちに、「自分にはペルソナという『能力』はあっても、目指すものが何もなく心が空虚だから苦しいんだ」と自分の「何もなさ」の真実に気付き、虚無感にもがくようになります。

順平が気づいた通り、若者の「何者かになりたい期待はあるけれど、自分にはどうせなれない」という自尊心と劣等感と甘い夢と絶望をコネたような気持ちのつらさは、「能力が足りていない」ことが原因ではありません。まさに順平の子供のころの夢がいい例なんですけど、「野球が好き→メジャーリーガーになりたい」などという単純な夢想をガチで叶えられる人など一握りですし、プロになったところで上には上がいるしきっと大谷くんにだって自分の限界や他人との比較に悩むことはあるだろうしで、無欠の英雄物語など本当はこの世にはないのです。「永遠の少年」が永遠の英雄なのは永遠に大人にならないからで、大人はみな挫折や凋落に向かっていかなければなりません。

自分の無力さに傷ついた子供は、そういう幻を捕まえられずにヤケになったり、「しょせん現実は」とか言って夢を見ることを忘れようとしたりします。しかし、大人になるっていうのは望みを全部叶える力を手に入れることでも、夢を見なくなることでもありません。ヒーローではなく空も飛べない自分を認め、それでも自分のやりたい気持ちに社会の中で関わっていくことです。ヴァイオリンが大好きな子全員がプロのソリストになるのがベストな進路ではなくヴァイオリン職人になったりオケメンバーになったり聴き手として音楽を愛し続けたりするように(『金色のコルダ』)、順平はのちに少年野球チームのコーチをやるようになります。順平の心は「実は特別でもない自分」を認めたことで、「やりたい」のエネルギーに適切に向き合えるようになったのです。

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 順平が「実は特別でもない自分」を認めることができるようになった大きなきっかけは、自分と同じように「自分は何者にもならず、何も残さず消えていく」という焦りと恐怖から逃避し隠している少女・チドリとの交流でした。何も持っていない、あんまり特別じゃない、世界の片隅のちっぽけな二人は、それでも惹かれ合い、お互いを大切に思うようになります。特別な何かを持っているとかいないとかは、人と人が絆を結んで生きていくってことに大して重要じゃないのです。たいていの人はみんな、最初はなんにも持っていないのですから。

「特別じゃない」「何も持ってない」「何も残せない」から、だからなんだってんだ! チドリは、俺は生きてるんだ!

大事だと思えることのため、好きな人のために何かをしようとしたときから、かけがえのない人生は始まるのですから。

 

『ペルソナ3』友近健二

 友近健二、高校二年生で主人公のクラスメイト。ペルソナとかそういうことは知らない一般人で「コミュニティ(通称「コミュ」)」キャラクターの一人です。

「コミュニティキャラクターの『一人です』」と言うよりも、彼はコミュというPシリーズに特徴的なシステムをプレイヤーに提示する最初の存在として登場します。追加シナリオである『P3P』女主人公編では違うのですが、友近は仲間キャラクターでもないのに勝手に話しかけてきて二人きりのイベントを発生させ、システム説明として友近とのコミュは強制的に始まります。

コミュの中には完全にメインストーリーに合わせて進んでいくものやペルソナ使いの仲間相手のものもありますが、ペルソナ3ではコミュは基本的には「ペルソナ使いとしての非日常の戦い(夜)」に対する「普通の人としての日常の人間関係(昼)」として位置づけられています。戦いには直接関係のない、何も知らない人々とのごくごく普通の絆がペルソナ能力の糧になり、彼らを守るためにも主人公は強くなっていく……というリンクが『ペルソナ』シリーズのテーマをシステムから表現しています。

コミュの事始めとして強制的に友達になる友近は、確かに「魔術師」らしいお調子者青少年ではありますが、「友近健二」という「主人公の友達のほぼモブキャラです!」とでも言いたげなネーミングにも表れているように順平以上の一般人オブ一般人にすぎません。容姿も成績も並で大きな悩みもそこまで暗い過去もない、どこにでもいる高校生男子で、普通だったら掘り下げられることのないキャラクターです。だからこそ、「そんなに特別じゃない、でもそれぞれの人生をどっこい歩んでいる人たちとじっくり関わり、絆を築くことが特別な力になる」コミュシステムを代表するキャラだといえます。いつまでも「コミュキャラといえば友近」なのです。

 

年上好み

 友近が主人公(男)に接近してきたきっかけは、主人公が転校初日から校内でも評判の高嶺の美少女・岳羽ゆかりと一緒に親しげに登校してきたことでした。「やるじゃんお前……雰囲気もあるし他のガキっぽいイモ男子どもとは一味違うな……」という感じで「いい女にモテ同盟」的なやつを形成したかったわけです。内容がない。そんなスカスカっぷりがまた「魔術師」。

そんな感じで友近は(順平がそうであるように)軽薄な高校生男子代表として女性への関心が強いナンパキャラではあるのですが、誰彼かまわずではありません。友近が興味があるのは、年上の、大人っぽい女です。同級生とかはガキっぽくて対象にならない、みたいに言っています。

大人の女性への憧れというのも、「魔術師」のもつ少年性の性質です。ピーター・パンがヒロインのウェンディに「お母さん」になってほしがるように。「魔術師」には「力のアニムス」や「行為のアニムス」といった男性性イメージの元型が含まれている、と前述しましたが、逆に憧れの女性性イメージ元型のことを「アニマ」と呼びます。友近はタロットでいうと「女教皇」や「女帝」のアルカナに表されているようなアニマ、「マドンナ」像と愛し合うことを夢見ている少年です。

友近の家は母子家庭で、母親は仕事に誇りをもって働いています。年の近い妹のことをガキだと思う一方で、「強く自立した女性っていいよなあ」と思うようになりました。

それはいいんですが、未熟な男性が抱く「あこがれの、理想の女性像」というのはえてしてフワフワしていて、相手を過剰に美化したり、自分のイメージをかぶせてしまってしっかり見ないことにつながる場合が多く……。

 

子供の妄想

 友近とのコミュは、彼が「年上のいい女」である学園の教師・叶エミリを狙っている、ということの相談を軸に展開します。

「高校二年の男子が美人教師と付き合いたいと思ってる」ってもうこの時点で妄想乙(完)という感じで、まあ文字数を増やすとしても「だいたい勘違いだし、対等にはなれないし、どうしてもって言うなら5年くらい待て」しかないのですが、友近はいたって本気ですしイケそうなら今!今付き合いたいんです。家庭と学校を中心とする自分の周りだけが世界のすべてで人生経験が少ない学生が、年上の大人と今すぐ年の差恋愛できる!と思うのは確かによくある、素直な感情ですよね。でもそれは現実離れした妄想です。

友近は叶先生に憧れ丸出しで近付きます。すると、少年にチヤホヤ好意を向けられてまんざらでもなかった叶先生はちょっと思わせぶりな冗談を言ってしまい、なんと友近は「俺たち付き合ってるんだ!!!!」とブチ上がってしまったのです! 教え子に思わせぶりなことを言ったり個人的な親しさの線を超えさせてしまった叶が一番悪いんですけど、そんなわけねーだろ友近!! ブチ上がった友近は叶先生の身辺に結婚情報誌が置いてあるのを見つけ、「エミリ(付き合ってると思ってるので名前呼び)、そろそろ結婚相手を見つけたいと思ってる……?」→「俺がエミリと結婚して一生守るんだ!! 友近エミリだ!!」とスーパー飛躍妄想までします。

しかしそれは都合のよすぎる一方的な妄想です。友近は一年ちょっとすれば法的には結婚できるようになるかもしれませんが、高校卒業直後の教え子と結婚なんかしたら叶先生の教師人生はメチャクチャです。好きな人の人生がメチャクチャになって、それでも頼ってもらえるような大人の力も友近にはあるはずありません。実際、付き合ってるというのは友近の勘違いで、友近を勘違わせてしまった叶先生は問題になって遠くの学校にトバされました。そんなことになっても友近は無力だし、叶先生は大人だから責任を問われ、友近は子供だから被害者だったということになります。友近はまだ甲斐性も覚悟も社会的責任も全然ない、「大人の女」と対等な恋をできるはずもない子供だったのです。

 

 叶先生に憧れたこと、好きな人と幸せになれる大人になりたいと強く願ったこと、そして自分がまだ子供だと気づいたこと。そんな、誰にでもある恥ずかしい一喜一憂の相談をずっと聞いてくれた主人公と、友近は固い友情で結ばれます。最初のきっかけが内容のない軽薄なものでも、弱く小さく平凡でも、人は関わり合うことでお互いの人生を豊かにし合えるということは「魔術師」的でもあるし、Pシリーズのコミュやコープ全体の重要なテーマです。

 

『ペルソナ4』花村陽介

 花村陽介、高校二年生で主人公のクラスメイト、一番最初のペルソナ使いの仲間です。

主人公と同じく(比較的)都会から来た転校生で、そのことから主人公に声をかけてきます。近年町にできた全国チェーンの商業モール施設「ジュネス」の店長の息子のため、町では少し特異な立場にあります。ある種の異国の王子様です。

『ペルソナ3』を土台としたうえに作られている『ペルソナ4』で「順平ポジション」として作られたキャラクターで、開発スタッフの間ではしばらく「順平」と呼ばれていたほどらしいです。そのため「魔術師」としての基本的なキャラ立ち位置や属性は似通っており、お調子者で主人公の代わりに状況を説明したり物語を引っ張ったりリアクションをとったりしてくれます。

スケベ担当はクマのほうに引き継がれたので順平よりやや上品であり、ルックスも整っています。さらに、『ペルソナ4』は舞台が「連続殺人&行方不明事件」「霧がよく出る田舎」というサスペンスで辛気臭い感じなのもあって、仲間たちとの関係は晴れやかで楽しいものになるように対比がとられて陽介には順平のようなギスギス爆弾が仕掛けられていません。そのためかなり初期から主人公に好意的で協力的で尊敬してくれる「女房役」となってくれて、正ヒロインっぽい流れのキャラクターのいない『ペルソナ4』においてはプレイヤーから「ヒロイン」と呼ばれることもしばしば。主人公の旅路に常に並走する相棒です。

 

一番近い「相棒」

 陽介が主人公の「相棒」を名乗るのは、「推理サスペンスもの」方向の『ペルソナ4』のコンセプトによく合った要素です。刑事ものには相棒がつきものですし。歴代の親友キャラの中で最も主人公との二人のバディ感が強いですね。4主人公が寡黙で渋めで男性的な迫力があるタイプなので、そういう人にはやっぱ人当たりがよくて口がうまい、細やかに頭が回るヤツが相棒として適任でしょ。実際に刑事の相棒である渋い主人公の叔父・堂島と後輩の足立の組み合わせと同じといえます。

 

 閉鎖的で娯楽の少ないノスタルジックな田舎町を舞台とした『ペルソナ4』では、主人公と同じ「都会から来た客人(まれびと)」である陽介がプレイヤーの常識感覚を代弁します。田舎ルールで話が進んで誰もツッコまないとプレイヤーが置いてかれちゃうからな。超~序盤に陽介のシャドウが「こんなクソつまんねえ田舎に放り込まれて」「でも一番つまんねえのは自分自身」「事件が起こってつまんねえ日々が変わるってワクワクしてるんだろ」とプレイヤーも思うかもしれないことをあらかじめ暴き立てることによって、プレイヤーは真剣に事件にも町での生活にも取り組んで充実させてこ!と感じることができます。

ペルソナ能力にもほぼ同じといってもいいタイミングで目覚め、事件解決へのモチベーションもあり、陽介は「しゃべるほうの主人公の半身」ともいえます。実は『ペルソナ4』の作中には陽介と同じように主人公/プレイヤーの鏡像や影として作られているキャラが他にも数名いるため、それを読み解くガイド線にもなっています。

 

特捜隊発起人

 さきほど述べたように陽介は事件解決へのモチベーションが高く物語を駆動してくれます。それは彼が思いを寄せていた人が事件の犠牲になり、犯人の悪行への純粋な怒りがあるからです。ちなみにこれも友近と同じく「年上の女性への片思い」で、よそ者として遠巻きにされる自分に優しく接してくれたことからほのかな憧れを抱いたようです。しゃべらないし因縁もない主人公と違って「旅立ちの明快な目的」を持った陽介によって、主人公パーティーの活動「自称特別捜査隊」はスタートします。

そこには陽介のシャドウが指摘するように「つまんねえ日常を変えてヒーローになりたい」とか、「とにかく悪い奴をやっつける」とかの子供っぽく長期的展望に欠けた欲望も入ってはいるのですが、最初はそれでいいのです。陽介が言い出したことによって何人もの人を助け出すことになり、活動を通して絆が結ばれ、謎を解くこともできます。当たり前ですがどんな動機であれ一歩を踏み出さなければ旅の何もかもは始まらないのです。

P4Gではやはり陽介が言い出して原付に乗ることができ、勇気を高めたり土地勘を得たりしてだんだんと遠出ができるようになっていきます。

 

『ペルソナ5』モルガナ

 モルガナ、怪盗団の仲間でコードネームはモナ。主人公たちが「認知の世界」で出会った黒猫のようななんか……なんかです。「怪盗」を名乗り、主人公たちを怪盗の道に導いていきます。現実の世界ではマジで黒いネコチャンの姿に。

人間で言えば精神年齢は青年くらいなのかもしれませんがそんなんしらんわ、イマドキのフツーの青少年じゃないものが当てられた異色の「魔術師」枠です。しかも声が大谷育江。まごうかたなきマスコットだよ。

そんなわけで「イマドキの若者枠」ではないのですが、「物語を始め、駆動する者」としての「魔術師」性質は高まりました。モルガナによってペルソナ能力について教えられ、「敵のオタカラを盗む」という目的を与えられて窮屈な檻の中だった『ペルソナ5』の物語は動き出します。パレスとは、オタカラとはなんなのか、盗んだら具体的にどうなるのか、モルガナは何者なのか、こまけえことはわからないまま、汚い大人たちに抗う若者たちの挑戦は始まります

その結果怪盗団が快進撃したり、活動があやうげになったりと「お調子」し、モルガナが順平的ギスギス爆弾するのもまた「魔術師」的要素です。

 

狡知の師

 『ペルソナ5』全体の「テーマ」を象徴するのは「星」のアルカナだと公式に言われていますが、一方で『ペルソナ5』の「テイスト」を象徴するタロットは「魔術師」のアルカナだと当方は思っています。「怪盗」というのがもう「魔術師」的存在だからです。

怪盗とは身軽で、巧みで、小ずるく、逃げ隠れやペテンを用い、おしゃれで粋で美学をもち、反体制的で、強者から鮮やかに宝を盗んでのける「永遠の少年」的な英雄像です。本家より現代日本人には親しみのある『ルパン三世』や、『サザエさん』の磯野カツオのような人物像ですよね。もちろん主人公のペルソナ「アルセーヌ(ルパン)」も。

『ペルソナ5』の痛快さである「立場の弱い者が思いもつかない奇策でジャイアントキリングする可能性を秘めている」という神話の元型を「トリックスター」といいます。陽介の項でも「魔術師」のキャラクターは「愚者」である主人公の半身、もう一人の主人公として作られると述べましたが、それは「魔術師」と「愚者」が共通して「トリックスター」的な元型を含んでいるからでもあります。『ペルソナ5』の主人公の特別な力はペルソナ3、4で呼ばれた「ワイルド」ではなく「トリックスター」と呼ばれていますね。

『ペルソナ5』には「ネズミ化」というバッドステータスが演出に効果的に使われていて、これも上記のような「魔術師」特徴を持つ泥棒「鼠小僧」の伝説が意識されているとおもいます。巨悪は曲者のこと「ネズミが入り込んだようだな、駆除しておけ」とか言うのがお決まりだしね。『ペルソナ5』はそういうちょこまかと動いて不意打ちで強者を倒す、ずる賢くて勇敢なネズミになるゲームです。

ネズミなのにネコとはこれいかに(「猫じゃねーよ!」Byモルガナ)って感じなんですけど、そういう『ペルソナ5』のテイストを牽引する「怪盗の師」なのがモルガナです。モルガナの言葉遣いが「ワガハイ」とか言ってわりとハードボイルドにカッコいいのも彼のペルソナ「ゾロ」とリンクした怪盗要素です。これまた「魔術師」的なキャラクターである『かいけつゾロリ』の名前と黒覆面の元ネタでもある『怪傑ゾロ』は、

強きをくじき弱きを助く、大盗賊にして真の紳士。賞金首のお尋ね者でもある反面、虐げられたインディオを助け、フェアに1対1の決闘に臨むなど、まさに正義の味方

――フリー百科事典Wikipedia『怪傑ゾロ』の項

といった物語の登場人物、いうたら、泥棒だけど優しく、美しく、汚れのない正義の心を持ったヒーローです。

『ペルソナ5』のパーティーキャラクターのペルソナのモチーフは共通して「体制や既成概念に反逆し、価値観をひっくり返すダークヒーロー」が引用されていますから、ともすると粗野で品がなくなりがちなところを、モルガナの「怪盗は美学を持ち、スマートな紳士たるべし」という教えが怪盗団に引き締まった信念とカッコよさを与えています。

 

 モルガナは「怪盗のカッコよさ」というコンセプトを決定づけるだけではなく、これまた今までの「魔術師」キャラにはなかった「師」という新しい立ち位置をもっています。

ふつうは「師」というと「女教皇」的なスカアハ師匠や「法王」的な精神的指導者、「剛毅」的な力の管理者、あたりの人物像なのですが、モルガナはそこまで権威的ではない「ワルの先輩」としてテクニックや策や知恵を授け、「魔術師」の創造性奇跡を生み出す知力を示しています。こういう小手先の切り抜けテクニックは深い精神性をもったものではありませんが、お尋ね者がコソコソと裏から目的を達する『ペルソナ5』には絶対に必要なものです。

 

自分探し

 モルガナは自分を「猫じゃねえ」「ワガハイは人間だったはず」と言い、思い出せない自分の正体を求めます。

まあしかし、モルガナの生まれ?が何者であったとしてもだ、最初から何者かである者などいないわけで、その者が何者かは、それを探して生きていく中でしか形成されないんです、結局。モルガナの正体は具体的な謎として物語を引っ張りますけど、「自分って何者なんだろう?」「まだ何者でもないかもだけど、それを探すために生きてるんだよな」というのは、それこそアヤセからずっと続く「魔術師」キャラたちと「イマドキの若者の心をもつプレイヤーたち」の共通テーマです。というか、『ペルソナ』シリーズ全体のテーマ真正面ですよね。

自分が何者であるかっていうのは、人と接したときどんな自分が出てくるか……、つまり、「ペルソナ」を使う積み重ねによって作られます。そしてそれは「他者に対してどんな自分でありたいと望むか」に動機づけられます。モルガナの場合、「アン殿」という憧れのマドンナ(おわかりかと思うのですがこれもいつもの「魔術師」要素なんですね)を心に得て、彼女にいい恰好をするため、彼女に恥じない自分になるため「人間に戻る」ことを目指すのです。

順平のスケベ心や友近の不祥事など、「魔術師」の美しい他者へ突っ走る憧れエネルギーはちょっとマズいことになることもしょっちゅうあるんですけど、モルガナから杏への片思いはモルガナが人間の青少年の体を持ってないせいもあって美しく純化されたもので、「魔術師」のもつ一途な精神性の純粋さが浮き彫りになっています。

幼児は大好きなママにいいカッコを見てもらいたいがために立ち上がって活躍しだします。そこから社会との接点が始まり、誰かのために何者かになりたくなり、はじめて「自分」が、「人間であること」が始まっていくのです。

 

 

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