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【目次記事】『ペルソナ』歴代キャラとタロットの対応―ぺるたろ⓪

本稿はゲーム『ペルソナ』シリーズとユング心理学タロットカードの世界観と同作の共通したテーマキャラクター造形とタロット大アルカナの対応について整理・紹介していく記事シリーズ、略して「ぺるたろ」のタロット大アルカナ部分目次記事です。

個別のキャラクターやタロットとの対応については別途記事をたててこの記事からリンク予定です。

『女神異聞録ペルソナ』『ペルソナ2罪』『ペルソナ2罰』『ペルソナ3』『ペルソナ4』『ペルソナ5』およびこれらの派生タイトルのネタバレを含みます。今回の記事では公式のネタバレ禁止区域に関するネタバレは含みません。

ちなみに筆者はシリーズナンバリングタイトルはやってるけど派生作品はQとかUとかはやってない、くらいの感じのフンワリライト食感なプレイヤーです。

↓いままでのあらすじ 前置きにユング心理学の話した↓

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 以下、タロットとユング心理学の関わりや大アルカナの寓意についての記述は、辛島宜夫『タロット占いの秘密』(二見書房・1974年)、サリー・ニコルズ著 秋山さと子、若山隆良訳『ユングとタロット 元型の旅』(新思索社・2001年)、井上教子『タロットの歴史』(山川出版社・2014年)、レイチェル・ポラック著 伊泉龍一訳『タロットの書 叡智の78の段階』(フォーテュナ・2014年)、鏡リュウジ『タロットの秘密』(講談社・2017年)、鏡リュウジ『鏡リュウジの実践タロット・リーディング』(朝日新聞出版・2017年)、アンソニー・ルイス著 片桐晶訳『完全版 タロット事典』(朝日新聞出版・2018年)、鏡リュウジ責任編集『総特集*タロットの世界』(青土社・ユリイカ12月臨時増刊号第53巻14号・2021年)、アトラス『ペルソナ3』(2006年)、アトラス『ペルソナ3フェス』(2007年)、アトラス『ペルソナ4』(2009年)、アトラス『ペルソナ5』(2016年)、アトラス/コーエーテクモゲームス『ペルソナ5 スクランブル』(2020年)などを参考としています。

 

 

前置き:ペルソナシリーズとタロット

 ペルソナシリーズ第一作目、『女神異聞録ペルソナ』が発売した1990年代後半、日本には「ノストラダムスの大予言」の流行などでオカルトブームが吹き荒れていました。*1『異聞録』や『罪/罰』にはそれらのオカルト要素や神話、占術、そして「現代の神話」である都市伝説が詰め込まれ、さながらコンビニの本棚の怪しげなムック本の総パロディのような絢爛(?)なストーリーが織りなされました。

現在の最新作まで続く「タロット」の要素も、その当時流行していた神秘主義の一部です。日本にタロットカードが導入されたのはユリ・ゲラーが来日し上記の「ノストラダムスの大予言」に関する書籍がベストセラーとなった1974年*2、そこから90年代のオカルトブーム再燃時にはまた「一部でブームになっている」いわゆるカルト的人気をもっていました。地元じゃ負け知らずのカルト的オタク少年であった当方も例に漏れず、1974年の本*3の付録のマイタロットを引き出しに持っていたものです。

タロットカードは多くの象徴や記号が埋め込まれた「深遠な意味ありげな絵とキーワード」で構成されていて、人生のさまざまな局面や世界の中の役割を暗示します。*4ペルソナシリーズは特に意味の強い「大アルカナ」のカードをペルソナやキャラクターに割り当てて、シリーズの特徴(と当方はおもってるんですけど)である「外面と内面をもった、複雑な奥行きのある人格やそれぞれの個人の物語」の支柱にしています。

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 また、ペルソナシリーズはその世界観や用語においてユング心理学をベースとしてるんですが(上の前置き記事で話してます)、現代のタロットの読み取りにはユング心理学からの理解が役立ったり、ユング自身もタロットに関わったりしています。*5

ユング心理学では「人類みんなが心の奥で共有している普遍的なイメージ(元型)がある」と語られ、そこから神や悪魔の像が生まれ、人間が形成するペルソナのもととなるとされています。*6タロットの象徴的な人物像や物語展開は、ユングのいうその「元型」を描いたものだというつながりがあるのです。*7だからペルソナにはタロットのアルカナが対応してるし、オカルトものがブームでなくなってもずっと変わらない魅力があるってわけ。

 

 この記事シリーズでは、「タロット大アルカナに対応して設定されている歴代のキャラクター」たちが、かなり意識してタロットに表現された元型的性質を組み込まれてできあがってることを、ときおりユング心理学のベースもからめつつ、当方が読みとれる限りで紹介していきます。

また、異聞録~5までの各キャラクターで同じアルカナであっても表現されている部分や側面がそれぞれ少しずつ違うこと、そのアトラスの技アリぶりを見ていくことでタロット大アルカナの各カードへの理解も深めてもらえると幸いです。

それぞれのアルカナを理解すると、今まで見てきたキャラクターのひとつひとつの描写にいちいちなるほど~があったり、これから続編でまたタロットが扱われた場合には読みとれることが増えたりしておもしろいんじゃないでしょうか。自分でキャラ作ってみたりしても楽しいよね。

↓同じようなことを『遙かなる時空の中で』の八卦(八葉)の性質読解でやってる記事

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各大アルカナと対応キャラ

 異聞録~5にいたるまでの大アルカナ22枚とキャラクターの対応表です。タロットのナンバーの並び順には「正義」と「剛毅(力)」が入れ替わる「ライダー版(ウェイト版)」とよばれる解釈がありますが、ペルソナシリーズでは正義が8、剛毅が11のマルセイユ版あるいはトート版解釈が採用されてます(「ライダー版(ウェイト版)」のみ特徴的に正義と力の順番が違っている*8)。ここでは、日本語のアルカナ名は3以降の名前に統一しています。

0番「愚者/ワイルド」と21番「世界/宇宙/永劫」は特別なアルカナで、ペルソナシリーズでも個人の担当というより主人公(たち)の旅路と結末をあらわすので表では省いています。また、大アルカナ22枚にないアルカナとして追加されたキャラも何人かいるんですが、それもこのシリーズでは扱いません。

異聞録&2に関しては「メイン(初期)ペルソナに設定されたアルカナ」を担当とします。(敵キャラに裏設定的に対応してたりはっきりした担当キャラがいなかったりするアルカナもあります)あと異聞録&2はけっこうあだ名で表示される機会が多くて「稲葉正男」とか言われてもパッと見でわからないので通称を表示してます。

3はメインストーリーのキャラクターとコミュキャラが同じだったり別だったり女主人公版(P3P)だと違ったりでめんどくさいことになっているのでメインとコミュを分けました。女主人公版でのコミュ変更要素も個別記事の中では扱っていきます。

 

 以降、3の江戸川先生のタロット大アルカナ集中講義を引用しつつざっとアルカナと対応キャラクターをひとこと紹介していきます。各キャラクターのひとこと紹介は公式の設定・描写を考慮したうえでの当方の解釈です。それぞれの見出しにつけたamazonリンクはそのアルカナのイメージです。

そうすると「見るからにピッタリ」な対応もあれば、「なんでそのアルカナ!?」「このキャラとこのキャラが同じ!?」というひねりのきいた対応もあることでしょう。そういう暗示や奥行きの深さこそが、タロットとキャラクターが対応していることの醍醐味です。そこんとこの細かな読み取りをする個別記事はここから順次リンクしていきますので、これどういうこと?と思いながらお楽しみに。

今日は、タロット。そう、占いに良く使われるあのカードです。
ヨーロッパに14世紀頃から賭け事用に広まった後、占いに使われだしたようですねえ。(中略)
大アルカナは、いろんな象徴の絵柄をつけたカードです。
この"愚者"から始まり"宇宙"で終わる22枚の大アルカナは…
番号順に一つの連続した物語になっていて、それ自身が人間の成長過程を表しています。
人間の苦難や、変節、成功…、文字通り、人生の縮図があります。
カードがそれぞれ、人が人になるため必要な要素をあらわしてんですねえ。
大事ですから、22枚のカードを一つ一つ見てみましょうか。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

ペルソナ3

ペルソナ3

  • アトラス
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0.愚者/ワイルド

  • P3~P5主人公(など)

最初の0番、"愚者"のカードは、始まりを意味し、無限の可能性を示唆します。
つまり、人生の始まり、ですね。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 作中でも「トリックスター」「ワイルド」と呼ばれている元型をあらわすアルカナです。一見最弱そうに見えて何をやらかすかわからない、パルプンテ的に状況を変える力をあらわします。*9

注:ワイルドの能力について

 P3以降は伝統的に「主人公の特別な能力」「主人公たちの旅路」をあらわすアルカナです。

P3以降の主人公たちは一人だけベルベットルームの客人となり、ペルソナを付け替えることができる特別な能力(ワイルド)を持っています。P3とP4においては「なんらかの形で契約を結んだ者」としてベルベットルームの客人となります。

ただし、この「主人公だけが契約を結びベルベットルームの客人となる」「主人公だけがペルソナを付け替えることができる」というのは「ゲームの目的やテーマ」、「主人公がプレイヤーの視点人物であること」、「専用ペルソナの性質や伝説とキャラクターたちが対応していること」をはっきりさせるための演出の一種であり、「社会的ペルソナを付け替える力」自体は他のパーティーメンバーにもあります。戦闘のときに出てくるのが特定のペルソナだっていうだけで、主人公たちといないときにはパーティーメンバーたちもいろんな仮面をつけて社会を渡っていることでしょう。*10

 

1.魔術師(個別記事あり)

  • 「刹那的・享楽的コギャル」アヤセ
  • 「嫉妬するお調子者」伊織順平
  • 「年上女性好きのクラスメイト」友近健二
  • 「八方美人の都会っ子」花村陽介
  • 「狡知を授ける魔術師」モルガナ

"魔術師"は創造、そして積極性…だが、未熟さを表すカードでもあります。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 基本的には「少年」「ずる賢さ」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。そこにしょっぱなからアヤセを置いてくるのが深いよなァ~って昔からずっと感動してます。詳しくは個別記事で。

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2.女教皇

  • 「謎多きヒロイン」マキちゃん
  • 「感受性豊かないじめられっ子」山岸風花
  • 「籠の中の若女将」天城雪子
  • 「世間を知らぬ完璧生徒会長」新島真

"女教皇"は精神の成長とそれに欠かせない知識を与える存在。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「少女」「巫女」「聖母」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。清らかで神秘的な女性像で、魅惑的であったり肝っ玉カーチャンである「女帝」のアルカナと対比になっています。*11詳しくは個別記事で。

ウェイト版の系譜のカードでは「白と黒」をあらわす*12ため、「自分の中にはもう一人の自分の顔がある」というテーマを初めて示した異聞録のキーとなったアルカナでもあります。

 

3.女帝

  • 「情をつらぬく姐御肌」ゆきのさん
  • 「大企業の次期当主」桐条美鶴
  • 「大人の女性な力の管理者」マーガレット
  • 「おっとり社長令嬢」奥村春

"女帝"で出会うのは母性とその生命力。母なる慈愛です。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「成熟した女性」「母性」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。清楚で潔癖な女教皇に対し、豊満でエロスを含みます。次の「皇帝」のアルカナとあわせて父母をあらわします。*13詳しくは個別記事で。

 

4.皇帝

  • 「リーダー/ヒーロー」異聞録主人公
  • 「超高校級正論ボクサー」真田明彦
  • 「高圧的な風紀委員」小田桐秀利
  • 「迷走するマッチョイズム」巽完二
  • 「世界を切り取る画家」喜多川祐介

"皇帝"は、それに対するカード。父性を表し、統率や決断力を示します。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「王者」「父性」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。社会的に成功することや、意識や理論や勝ち負けの世界を志向しています。*14真田や小田桐がそういうストレートボールだったために、完二や祐介が違う角度から描写していますね。詳しくは個別記事で。

 

5.法王

  • 「日本一財閥お坊ちゃま」なんじょうくん
  • 「一匹狼な上級生」荒垣真次郎
  • 「古本屋のひょうきん爺さん・優しいおばあさん」文吉&光子
  • 「渋くて硬い刑事の叔父」堂島遼太郎
  • 「ことなかれちょいワル保護司」佐倉惣治郎

"法王"は寛容と精神性の充実。宗教や精神世界との出会いを示唆します。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「年長者」「権威」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。「皇帝」と同じく「社会的に強い大人」ではありますが、皇帝が「勝ち負け」「正確な理論」の世俗権力的な強さであるのに対して法王は「道徳的、普遍的正しさ」を上から教える宗教権力的な強さです。*15詳しくは個別記事で。

 

6.恋愛

  • 「金髪碧眼女子高生アイドル」ギンコ
  • 「クラスで一番かわいい子」岳羽ゆかり
  • 「ぶりっ子系人気アイドル」久慈川りせ
  • 「圧倒的ルックス!高校生モデル」高巻杏

"恋愛"は、自分だけの物を選択すること。やっと自我が出てきました。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「恋愛」「エロス」だけでなく、「思春期の変化」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。「魔術師」~「法王」は神のような偉大な人物像をあらわしていましたが、ここではじめて「個人の選択」が出てきます。やたらアイドル的人物が多いですが、詳しくは個別記事で。

 

7.戦車

  • 「直情型ヒップホップボーイ」マーク
  • 「対シャドウ人型兵器」アイギス
  • 「お肉大好きカンフーマニア」里中千枝
  • 「素行不良な切り込み隊長」坂本竜司

"戦車"は勝利…ただし、ここで得る勝利はまだ若く、目に見える勝利を意味します。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「若き英雄」「未熟な勝利」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。「戦車」までが神話的なハッキリした元型の世界*16なので、パーティーメンバーの多くがここまでのカードから人物像を作られています。詳しくは個別記事で。

 

8.正義

  • 「軽薄太鼓持ち」ブラウン
  • 「生真面目な刑事」周防克哉
  • 「大人びた少年」天田乾
  • 「潔癖症めがねっこ」伏見千尋
  • 「天使のような妹」堂島菜々子
  • 「天才高校生探偵」明智吾郎

"正義"はその通り、公明正大さです。自分の中に善悪や理性が出てきたわけです。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「判断」「分別」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナではあります。しかし見ての通りその意味をストレートに表示しているのは2の克哉だけ、しょっぱなの異聞録からひねりのきいた描き方をしているなかなかの曲者カードです。詳しくは個別記事で。

 

9.隠者

  • 「復讐代行裏サイト管理人」ジン
  • 「過疎ネトゲの住人」Y子
  • 「浮世離れした年上の同級生」長谷川沙織
  • 「寂れた神社の神の使い?」キツネ
  • 「引きこもり世界的ハッカー」佐倉双葉

"隠者"は探究者。自分自身の内面、その奥深くに入っていきます。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 その名の通りの「隠者」、つまり世を捨てた老賢者、求道者的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。「プログラムによってデータ化された神や悪魔を再現・召喚する」デジタル・デビル・ストーリーに立脚する女神転生シリーズ*17の伝統を引き継ぐようなかたちで、このアルカナには「ネット世界の住人」が多く当てられています。なぜ「ネット」が「隠者」なのか? 詳しくは個別記事で。

 

10.運命

  • 「陰のあるカリスマ美少年」黒須淳
  • 「終末思想の扇動者」タカヤ
  • 「強運多才な大病院の御曹司」平賀慶介
  • 「謎の転校生」望月綾時(本来は「死神」、P3Pコミュでの特殊配置)
  • 「探偵王子」白鐘直斗
  • 「当たる!怪しい占い師」御船千早

"運命"は人が干渉できない運命、その中で得る、自分の将来の決断。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「運命のドラマティックな転換点」「それを告げる者」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。人智を超えた運命の大きな流れをあらわすため、スケール感の大きいある意味異様な人物像を描いています。詳しくは個別記事で。

 

11.剛毅

  • 「神社のマスコット柴犬」コロマル
  • 「運動部女子マネージャー」西脇結子
  • 「運動部ふたりの男子」長瀬&一条
  • 「双子の看守」カロリーヌ&ジュスティーヌ

"剛毅"は自分の意思と情熱。理性を持った力として描かれます。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 日本では「力」と呼ばれることの多いカードです。「怪力を管理する者」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。キャラクターとしては暴威の力をもった猛獣や戦士じたいとして描かれることも、それを手なずける乙女の姿をメインに描かれていることもあります。おとぎ話の『美女と野獣』はこのカードの元型をあらわしています。*18詳しくは個別記事で。

 

12.刑死者

  • 「復讐の盗聴バスター」パオフゥ
  • 「両親が離婚しそうな小学生」大橋舞子
  • 「連続殺人被害者の弟」小西尚紀
  • 「元"筋者"のモデルガン店主」岩井宗久

そして、一旦は身動きの取れぬ"刑死者"となり…

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「犠牲」「雌伏」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。本人に大きな罪がなくても、あるいは他人のために刑罰を受ける悲壮な人やそのために身動きが取れないタイミングをあらわします。*19詳しくは個別記事で。

 

13.死神

  • 「ヴィジュアル系死神番長」ミッシェル
  • 「夢?に現れる謎の少年」ファルロス
  • 「謎めいた転校生」望月綾時
  • 「死神を名乗る喪服の老女」黒田ひさ乃
  • 「ワケありの闇医者?」武見妙

訪れる、精神の死。13番目の"死神"のカードです。これは、転機、ターニングポイントのカードでもありますね。古いものは終焉し、新しいものが生まれるのです。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「あの世からの使者」「死と再生」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。「存在している限り避けえない限界」の概念であり、限界から派生したさまざまなエネルギーも司る、ある意味で生命力豊かなカードでもあります。*20詳しくは個別記事へ。

ペルソナ3のメインテーマとなったアルカナでもあります。そのことについても個別記事でお話しする予定です。

 

14,節制

  • 「日本好きのフランス人留学生」ベベ
  • 「都会から来た若い再婚継母」南絵里
  • 「昼は担任教師、夜は……」川上貞代

"節制"は、価値の対立の中で見出す調和。異なる価値観に触れ、人は成長していき…

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「異文化の並列」「節度」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。ペルソナ3~4ではシャドウは1~12番のタイプに分類され、特別な13番がまれにいる、という感じだったのでここから先はちょっと扱いが小さめです。「死神」のあとは価値観にひびが入った後の世界であり、社会的な価値が揺らいだからこそ見いだせる自分の心の真実に迫る禅問答のように複雑なアルカナになっていきます*21から、あまりメインキャラになることはありません。詳しくは個別記事で。

ペルソナ4のメインテーマとなったアルカナでもあります。そのことについても個別記事でお話しする予定です。

 

15.悪魔

  • 「孤高の復讐鬼」城戸玲司
  • 「射幸心を煽るTVショップ社長」たなか社長
  • 「蠱惑的な看護師」上原小夜子
  • 「ゴシップ記事ライター」大宅一子

"悪魔"に象徴されるように、甘言と誘惑を受けて様々に迷いながら…

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 いわゆる「悪魔のささやき」「まやかし」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。悪魔的な人物とは単なる怪物ではなく、やみくもに真なるものではない欲望を満たすことへの誘惑、それを呼び寄せてしまう人間らしい弱い心が作り出す幻影です。*22詳しくは個別記事で。

 

16.塔

  • 「脱サラ生臭坊主」無達
  • 「周りを見下す優等生」中島秀
  • 「ガンアクションゲーの天才少年」織田信也

"塔"で、価値観が一旦崩壊します。これにより、何も無くなったかに見えますが…

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「破局」「崩壊」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。吉凶としてはタロット最大のアンラッキーカード、大凶札といえます。*23なぜそれが「塔」の崩壊にあらわされているのか、なんで生意気な天才少年らと破戒僧のオッサンが同じアルカナなのか、詳しくは個別記事で。

 

17.星

  • 「結婚詐欺にあった女」芹沢うらら
  • 「スポーツ界期待の星」早瀬護
  • 「超高校級正論ボクサー」真田明彦(本来は「皇帝」、P3Pコミュでの特殊配置)
  • 「テレビの世界の謎の着ぐるみ」クマ
  • 「アイドル的高校生棋士」東郷一二三

そこで見つけるのは希望と言う名の小さな光。これが"星"のカード。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「一縷の希望」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。これは塔と逆にきらめくラッキーカードで、セットであるといえます。*24早瀬や一二三はその名の通り「スター選手」です。じゃあうららは一体……? 詳しくは個別記事で。

ペルソナ5のメインテーマとなったアルカナでもあります。そのことについても個別記事でお話しする予定です。

 

18.月

  • 「謎を抱えた朗らかなマドンナ」天野摩耶
  • 「過食グルメキング」末光望美
  • 「一匹狼な上級生」荒垣真次郎(本来は「法王」、P3Pコミュでの特殊配置)
  • 「わがままな運動部マネージャー」海老原あい
  • 「怪盗団の信奉者」三島由輝

"月"に表されるように、不安を胸に、そろりそろりと進んで行き…

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「不安定」「不穏」「狂気」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。星からまた一転怖めのカードですね。2のラスボス・ニャルラトホテプのボスとしての名前が「月に吼えるもの」であったり、名君であったローマ皇帝カリギュラが狂気の代名詞となるほどの暴君となったのは「月の女神に愛されてしまった」からとも言われます。*25英語で狂気をあらわすルナティックのルナも月が語源です。*26

よってこのアルカナに当てられた時点でもう不穏の予感がするという様式ですね。詳しくは個別記事で。

「太陽」と対になって2罪罰のキーとなったアルカナでもあります。そのことについても個別記事でお話しする予定です。

 

19.太陽

  • 「寡黙に燃えるアツい漢」周防達也
  • 「余命いくばくもない文学的青年」神木秋成
  • 「吹奏楽部の雑用係」松永綾音
  • 「すごすぎて浮いてる演劇部員」小沢結実
  • 「万年落選の誠実な議員候補」吉田寅之助

暖かい未来を得る…それが"太陽"。真の意味での達成を表すカードです。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 まさに小沢の名前についているように、「結実」的な元型のキャラクターが置かれるアルカナです。「塔」の崩壊のあと「星」→「月」→「太陽」と連なって人間の魂の輝きがどんどん上昇し強くなっていくさまを描いています。*27「審判」や「世界」に近い、物語のフィナーレを飾る輝きのカードなので、スケールの大きな感動を残すことが多いです。詳しくは個別記事で。

「月」と対になって2罪罰のキーとなったアルカナでもあります。そのことについても個別記事でお話しする予定です。

 

20.審判

  • 「オカルト好きな帰国子女お嬢様」エリー
  • 「必勝! 詰める検事」新島冴
  • P3~P4は終盤の真相に挑むパーティーメンバーの覚悟と絆をあらわす

その旅の終わりに待ち構えるのは"審判"。歩んできた道を振り返り、裁かれる時…

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 その名の通り「審判」の元型をあらわすアルカナです。死後、あるいは世界の終わりに際してしてきた行いや魂の善悪が裁きを受ける、総決算される、という元型は世界中のさまざまな文化宗教の中にみることができます。*28

そのスケールのでっかい性質上、本当に個人のキャラに当てられた例はエリーひとりだけ(冴の場合は「主人公が冴に尋問を受けている中での回想」として中盤までのストーリーが進行する自動イベントの仕掛けであるため、P3~P4の終盤のストーリーイベントとしての扱いとも似ている)なのですが、人間の性質や物語としてはどういうことなのか、詳しくは個別記事で。

 

21.世界/宇宙/永劫など

そして最後の"宇宙"。やがてたどりつく、あなた自身の場所です。

――『ペルソナ3』保険の江戸川

 「真理への到達」「世界との合一」の元型をあらわす特別なアルカナ*29です。P3以降主人公(たち)の到達するゴールとして描かれ、作品を通して担当しているキャラクターがいるという感じではありません。真の自己実現のゴールは「悟り」とか「解脱」「自然との融合」だっていう、ある意味東洋哲学的なエンディングです。*30

「すべて」を包括、統合したカードであり、「何もないし、なんにでもなれる」ゼロをあらわす「愚者/ワイルド」のカードと対をなしています。大アルカナ最後のカードである「世界」でゲームセットを迎えた物語はまたゼロ番の「愚者」に戻り、新たなゲームがスタートして魂は進化し続けていきます。*31ペルソナシリーズでアルカナの旅路と出会い続けるわれわれプレイヤーたちもまた……。

 

 

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あわせて読んでよ

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*1:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』ノストラダムスの大予言の頁

*2:前掲『タロットの世界』10頁、177頁

*3:辛島宜夫『タロット占いの秘密』(二見書房・1974年)

*4:前掲『タロットの世界』138-139頁

*5:前掲『タロットの世界』128-129頁、前掲ニコルズ5頁など

*6:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』元型の頁

*7:カール・グスタフ・ユングは1933年のセミナーにおいてタロットに描かれる象徴について「さまざまな種類の分化した元型的観念」と述べている(C.G.ユング著 氏原 寛、老松 克博訳 C・ダグラス編集『ヴィジョン・セミナー』(創元社・2011年)1001頁)

*8:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』ウェイト版タロットの頁

*9:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』トリックスターの頁フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』ワイルドカード(トランプ)の頁

*10:アトラス『ペルソナ3 公式設定資料集』(エンターブレイン・2006年)

*11:前掲ニコルズ152-153頁によれば「この二人の姉妹の肖像を比較対象してみればわかるように、それぞれは別々の側面を強調している」「『女教皇』は、「女大祭司」であって「聖処女(ヴァージン)」であるし、『女帝』は「聖母(マドンナ)」であって「女王(ロイヤル・クイーン)」である」

*12:前掲『タロットの歴史』75頁

*13:『タロットの秘密』皇帝の頁によれば「「女帝」が「母なるもの」であり、自然の豊穣性と結びついているのに対し、「皇帝」は「父なるもの」であり、世俗の政治的な権力と結びついている」

*14:前掲『タロット象徴事典』93頁

*15:前掲ポラック80頁によれば「「司祭」を「皇帝」の対の一方としてみなすことができます。そもそも「教皇」という言葉は「父」を意味し、ローマ皇帝と同様に「教皇」は子供たちを導く賢い父親として考えられていました」

*16:前掲ニコルズ39頁

*17:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』デジタル・デビル・ストーリーの頁

*18:イシャ・ラーナー、マーク・ラーナー著『インナーチャイルドカード』(株式会社ヴィジョナリー・カンパニー ・2010年)では剛毅(力)に対応するカードが美女と野獣として描かれている

*19:前掲『タロットの歴史』154-155頁

*20:前掲ニコルズ376-377頁

*21:前掲ニコルズ40頁

*22:前掲ニコルズ442-443頁

*23:前掲辛島49頁

*24:前掲ポラック168頁

*25:TYPE-MOON『Fate/Grand Order』カリギュラのキャラクター説明に「当初は名君として人々に愛されたが、突如として月に愛された──狂気へと落ち果てたのである。暗殺までの数年間、彼は帝国を恐怖で支配した」(2015年)

*26:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』月#ヨーロッパの伝統文化の頁

*27:前掲『タロットの歴史』197,205,213頁

*28:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』最後の審判の頁

*29:前掲ポラック186頁、ニコルズ577頁

*30:うちむら『「ユング心理学」と「マンダラ」 』(2016年)によれば「「曼荼羅」の”manda”とはサンスクリット語で「本質」を意味し、”la”という接尾辞には「得る」という意味があります。曼荼羅とは本質や真理に到達(あるいは回帰)することを著す図表だといえるでしょう。人間全てに共通する本質を求めたユングが辿り着いたのがこの図形であったことは、面白い偶然と言えると思います。そしてもちろん、ユング本人にとっては、偶然以上のものをあらわす一致でした。これをユングは、個人を超え人類に共通している「集合的無意識」と考え、その研究に多くの時間を割いていきました」

*31:前掲ニコルズ582-585頁