湖底より愛とかこめて

ときおり転がります

紋章タロット読者の皆様のための参考文献&ブックガイド

 本稿は『紋章×タロット フォドラ千年の旅路』同人誌をお求め、かつTwitterアカウントをフォローしてくださっている読者の皆様のためのオマケ記事だったのですが、フォロワー限定に使っていたツールの変化により、またけっこう時間も経ったので、再掲ついでに公開いたします。

今回のオマケは巻末のメッチャいっぱいある参考文献の紹介です!

www.homeshika.work

www.homeshika.work

風花雪月の紋章のタロット読解本、再販してます。

booth.pm

 

 

はじめに/凡例

 今回の巻末の参考文献一覧、FEのメモリアルブック系以外は当方が20年くらいタロットとかヨーロッパ文化とかをチマチマ勉強してきてこのシリーズにいたった中で影響深い本を集めたんですけど、多いだけじゃなくどれもけっこう専門書めなので、ちょっと興味あるナってみなさんに思ってもらっても明らかに手出しづれ~んですよね。

『いただき! ガルグ=マクめし』のときもけっこう専門書多めだったんですけど、あれは食事が話題の中心だったからある程度誰にでも読みやすいしおもしろいわけです。でも今回のタロットってオカルトとか心理学とか宗教的な文脈とかてんこ盛りな分野なもんで、みなさんがもし手を出してくれるにしてもドカ盛り具合を案内しといた方がいいかなって。

入門っぽいか研究っぽいか、読みやすさ、主な話題、あとAmazonその他で現在も定価で手に入るものもあれば、入手困難なものもあるので、そのへんのこととかを星の数でざっくりレビューし、みなさんのタロット勉強やいろんな作品読解、自己理解に役立ててもらいたいとおもいます。

評価軸はこんなかんじ。

入門書 ☆☆★★★研究書
 ……入門寄りか研究寄りか。入門2研究3のこのバランスだと「いきなりこれから入っても全くわからないことはないけど、ステップアップ向け」くらい。

読みやす☆★★★★難解
 ……文体や専門用語の頻度、字や内容の詰めこみ具合的に読みやすいか体力を使うか。難解4のこのバランスだと相当の気合を要する。

お手頃 ☆☆☆☆★入手困難
 ……金額やそもそも流通しているかどうか、あと電子版の存在などによる手に入れやすさ。手頃4のこのバランスだと通販や大きな書店、運がよければ図書館で手に入る。入手困難5だと絶版でプレミアがついているくらい。

オススメ☆☆☆☆★あんまり
 ……本自体の評価ではなく、いろんな作品読解にタロットを絡めるうえで役に立ちそうかどうか。でもたまに照二朗の「スゲーこの本が好きでよ!!」ていうのが入ることもある。

この4つの評価に加え、特にどのアルカナやどの話題に興味がある方におすすめなのかなどの特徴を紹介していきます。参考文献リストにはないけどおすすめなものもちょっとあります。

ある程度種類に分けてやっていきますね。「タロット勉強用の本」「タロットリーディングの本」「各アルカナ関連本」「ヨーロッパ文化の本」見出しがあります。

 

タロット勉強用の本

 勉強用の専門書なので総じてムズめ。お手頃でないものも多い。

『ユングとタロットー元型の旅』

入門書 ★★★★★研究用
読みやす☆★★★★難解
お手頃 ☆★★★★入手困難
オススメ☆☆☆★★あんまり

 リスト最初からいきなりヘビーな困難さのやつ。当方が持ってるタロット研究書の中でいちばん分厚くて重い。ハードカバーなので今回の同人誌の3倍くらい重く、読むのも物理的に一苦労。筋肉痛なる。絶版して十年以上経っており、中古本の値段が5万円を超えてたこともあったけど、今は一万~二万(それでもエクスペンシブ)。

 内容的にも、タロットのイメージやキャラクターの事例、加えてユング心理学をある程度頭に入れたうえで深く理解したい……というレベルの人でないと何言ってんだかさっぱりです。かなり神秘的で抽象的なこと言うし(著者の見た夢の話とか)。それなりにタロットの意味に触れて数年経ったころの当方でもとてもカロリーを消費して徹夜で読んだ青春の思い出があります。

 じゃあなんでそんな本をオススメ3なのかっていうと青春補正もありますけど、とにかく大アルカナ22枚に関する情報量が多くカードごとの個性をとっくり理解していってね!できるからです。ひとつのアルカナに30ページも40ページも費やす本は他にないんじゃないかな? 当方がタロットを読めるだけじゃなく場合に合わせてすらすらと語れるほどイメージを固めたのはこの本を読破してからです。

特にペルソナシリーズの大アルカナに対応するキャラやシャドウの材料はすごくこの本に載ってる…てかんじですね。だからキャラクターの個性にタロットの要素を入れたいときにはタネ本としても有効だとおもいます。相当な覚悟は要るけど。

ちなみに『ユング・タロット』というのはふつうのタロットのカードとは無関係にユングの元型をもとにカードセットを作ったよという別のものなので注意です。

 

『タロット象徴事典』

入門書 ☆☆★★★研究用
読みやす☆☆☆★★難解
お手頃 ☆☆★★★入手困難
オススメ☆☆☆★★あんまり

 井上教子著のおすすめ本2冊のうち詳しくてむずかしい方。

 入門書では決してありえないですが、専門書にしては書面構成や言葉遣いがわりかし読みやすく、カード絵に描かれているシンボルの意味を絵解きしてカードの個性を解説するっていうカユいところに手が届く趣旨の本のため、読むと楽しい発見がたくさんあります。シンボル(象徴)による絵解きってヨーロッパの絵画全般に登場するアイテムとか色の使われ方の意味とかの勉強にもなるんで、タロット関係なしにもいろんな作品読解に役に立ちますね。映画とかアニメにもヨーロッパの図像学の象徴性使われたりするんで。

 ちなみにこいつもハードカバーでぶあつくて重く、しかも箔押しと本箱までついてる。そのわりには安いな(金銭感覚の壊れ)~

 もとは図書館で読んでおり、通ってはメモしヒーコラ言っていたのですが、一昨年しおあずきさんが買ってくれた。ありがとう。

 

『タロットの歴史:西洋文化史から図像を読み解く』

入門書 ☆☆★★★研究用
読みやす☆☆☆★★難解
お手頃 ☆☆☆☆★入手困難
オススメ☆☆★★★あんまり

 井上教子著のおすすめ本2冊のうちの文字数とか軽めな方。

 タロットカードの変遷を解説しているため図版がとびぬけて多くしかもフルカラー! そんなにあんのかってほどいろんなバージョンのカード絵だけでなく参考絵画なども多く目に楽しいです。文字や行間も大きめ。

 記述内容は上の重い方の本と一部かぶっていますが、こちらはシンボルの意味を解説するよりも「そのシンボルにどういう文化的背景があるのか」「豪華パックのタロットカードを作らせた一族の歴史がカードにどう反映されているか」みたいなことを趣旨にしています。そのため、カードの意味に深く入っていきたいんじゃ、バージョン違いとかヨーロッパ文化とかその一族のことは知らんがなという場合には向かないですかね。

 でもソフトカバーだしおおむねうちの同人誌と同じ重量感サイズ感だし、カバンに入れて出先でもギリ読める手頃さは捨てがたい。当方は歯医者の待ち時間で読めた(歯は死んでしまった)。ヨーロッパの歴史文化にも興味がある方ならもしかしたら入門書にしてもいいかも……。

 

『タロットの秘密』

入門書 ☆☆☆☆★研究用
読みやす☆☆☆☆★難解
お手頃 ☆☆☆☆☆入手困難
オススメ☆☆☆☆☆あんまり

 鏡リュウジ先生の名著。「タロットという文化」全体の総論について理解を深められるのに、タロットって言葉はなんとなく知ってるけどなんぞや?という人にも向けられてて、しかも雑学系の親書みたいに(みたいじゃなくてそうなんだけど)あっさり読みやすくてどんどん読めちゃう。鏡リュウジ先生、文章がうまい。僕の憧れ。

 だからといって内容が薄いってことは全くなく、タロット中級者にとってもどんどん読んじゃってるあいだにいろんな示唆に富んだ情報が入ってきます。もちろん大アルカナのそれぞれのカードの個別ページもあり、全体にして300ページ以上ある!

 電子書籍もあるので、ただカードの意味を見たいだけでなくタロット全体に理解を深めたいなーと思ってる人には明らかにオススメ本、まさに決定版ですね。長いし鏡リュウジ先生の語り口がずーっと淡々としてるのでその点ちょいムズに感じるかもしれないですが、まあ当方の本買うような猛者(もさ)ならいけるでしょ。

 

『78枚のカードで占う、いちばんていねいなタロット』

入門書 ☆☆☆☆☆研究用
読みやす☆☆☆☆☆難解
お手頃 ☆☆☆☆☆入手困難
オススメ☆☆☆☆★あんまり

 これは占い方の本なのとけっこう最近読んで内容に影響があったわけじゃなかったので参考文献には載せてない本ですね。

 この本の著書LUA先生の本は美しくて晴れやかなデザインで読みやすいうえに中身はけっこう骨太な書かれ方をしていて、初心者を無理なく確実に鍛えてくれるトレーナーさんという感じです。電子書籍もあるしワークブックもある! 同じ先生がきれいなフォーマットでたくさんの違ったテーマの本を出してくれているというのもいいんですよね。書影を見て気に入った人は波長が合うと思うのでラッキーですよ!

 占い方の本なのですが「タロットリーディングの本」のほうじゃなく今回で紹介したのは、この本には「セットになるカード」の考え方がわかりやすく解説されているためです。もともと「運命の輪」を境に大アルカナをふたつに分ける、という考え方や、二枚の大アルカナを同じことの裏表としてセット解釈する、という考え方はよくみられたのですが、LUA先生は

わかりやすいカードばかりなら問題ありませんが、「女司祭」「司祭」「力」「隠者」「正義」「節制」などは、すんなり読むことが難しいと思われる方が多いようです。

 

そこで役立つのがイレブンタロット。

 

2枚のカードをワンセットにして、その意味を対義語や反対の意味として理解を深めようというものです。

【タロット】の大アルカナを11枚にしてしまう!? イレブンタロット作戦 | LUAオフィシャルブログ「占術家LUAの女王様ブログ」Powered by Ameba

と提唱し、理解しやすい2枚セットをこの本で紹介してくれています。

 もちろん「2枚セット」の組み方はこれだけではないですし、タロットの中にはじつにいろんな対称関係が見いだせるんですが、どのキャラがペアになっている、という情報はそれだけで考えがいがあって楽しいですよね。

 

タロットリーディングの本

 リーディング(主に占いのときのカード解釈)の本は複数、一冊通しで読む×3くらいまず読んでみるとカードイメージに立体感が出るのでおすすめです。ほんとに入っていきやすい入門書がタロットには多く流通してるので、まずは大きめの本屋さんに行って気に入った分厚くない本を一冊読んでみて、それからここで紹介する本を読むといいとおもいます。

カードが付録してる本も多く、「大アルカナのみ22枚」タイプのもの、「大小アルカナ78枚フルパック」タイプのものがありますから必要に応じてチェックしましょう。タロットデッキはいくつか持っていて目的で使い分けてもいいものです。

ただし、ほかの種類のカード占いも同じコーナーに置いてあることが多いので注意してください。「オラクルカード」「ルノマンカード」「ルーンカード」などはタロットと似たシンボルを扱っていることもありますが違うやつなので、勉強し始めたばかりの人が読むと混乱するかもです。

 

完全版 タロット事典

入門書 ☆☆★★★研究用
読みやす☆☆☆★★難解
お手頃 ☆☆☆☆★入手困難
オススメ☆☆☆★★あんまり

 「タロット勉強用の本」としての力もすごく強い本です。占いの道具ではないタロットの使い方がすごくいっぱい書かれているし、タロットのバリエーションやほかの神秘(十二星座とか惑星とか、生命の樹とか、四大元素とか、数秘学とか)との関わりについても網羅的に詳しく書かれてます。なんかもう全部書いてある。タロットについてのオカルティックな迷信とかデマとかを冷静に「これは煽情的な俗説ですよ」「そういうもんではないですよ」と解きほぐしてもくれてて、偏った知識で思い込んじゃうの怖いな…とおもってる方にはすごくおすすめの教科書です。

 タロットの読み方については、単なる手順や方法ではなく読み取る前の心構えをどうしたらいいのか、どういうことなら読み取れるのか? みたいな大事な土台をまず基礎固めしてくれます。そのうえで10種類くらい目的別のスプレッド(カードの配置法)が詳しく教えられてます。各カードの意味の解説についても、「キーワード箇条書き」がたくさん書かれたうえでほどよい文章の説明がついてるので、字は多いけどパッと見でわかりやすいです。

取捨選択が難しいほど全部書いてあり、あまりに完全版すぎるので逆に入門者におすすめぜひ読んでよとはいかないのですが、電子書籍もあるし、タロットで占いや作品読解や自己理解をちゃんとやろうと決めてる人は間違いなく持ってた方がいいです。漢文読むときの全訳漢辞海みたいなもん。この情報量では破格の安さだし。同人誌が恥ずかしくなるわ。

 

『鏡リュウジの実践タロット・リーディングーもっと深く占うための78枚―』

入門書 ☆☆☆★★研究用
読みやす☆☆☆★★難解
お手頃 ☆☆☆☆☆入手困難
オススメ☆☆☆☆☆あんまり

 これもリーディングの見出しで紹介してるしリーディングの本だと銘打たれてますが、タロット全体の勉強用の本としてもメッチャいいです。タロット勉強用の本で一番最初に紹介した照二朗のイチオシ(だけど読みづらい)『ユングとタロット』的なユング心理学や象徴学の話題をだいぶ咀嚼しやすくしてくれていて、しかも小アルカナまで入っているとはたまげたぜ。助かりを感じる。

 上の『完全版 タロット事典』と違ってカードの意味キーワードが箇条書きに一覧できるわけではないのですが、それぞれの見出しの直後にカードのイメージが平易な文で書かれているのでリーディングのときイメージを喚起しやすいとおもいます。簡潔なウェイト版のカード絵解きもついてるし。鏡リュウジ先生なのでいつも通り読み物としても面白くもりもり読めます。

特筆すべきオススメポイントは、小アルカナがスートごとに分けて一枚ずつ解説されているのではなく「同じ数字の4枚」を並べて解説されてるってとこです。小アルカナには「4つのスート」「14の数字&人物」という、いうたらタテヨコの表のような軸があって、数字にも展開の意味があるんですよね。照二朗のように丸暗記が絶望的に苦手でテスト中に筋道や関連を考えて思い出すみたいな人には「根幹の概念」の理解を深められてすごいおすすめです。

 

『タロット占いの秘密』

入門書 ☆☆☆☆★研究用
読みやす☆☆☆★★難解
お手頃 ☆☆☆☆★入手困難
オススメ☆☆☆★★あんまり

 当方が持ってる上のは絶版してますが下の改訂版が今も流通してます。なんと1974年(昭和49年!?)に発行されたもので、長い間日本のタロット本の草分け的な存在でした。特に小アルカナを含む国産のイラストカードつき解説書はずーっとこの辛島版が代表的だったんじゃないかな。マンガにこの絵のカードが登場してたのを見たこともあるくらいです。昔は日本語のタロット本って多くはなかったので、90年代とかのタロットに関する多くの創作の背後にはこの本がいる……って感じですね。ペルソナシリーズとかはアトラスのスタッフにふつうにアレイスター・クロウリーのオタクの人(江戸川先生や黒瓜くんのモデル)がいるのでアレですけど。

カバラと、タロットのエジプト起源説にインスパイアされているのが特徴です。だから絵柄がふつうのヨーロピアンなものではなく、エジプト風の白黒線画(ぬり絵としても楽しめる!!)。イラストにたいへん味がありながらウェイト版の基本的象徴をバッチリ押さえています。エジプトリスペクトなのでカードの裏面にけっこうリアルめのスカラベ(カナブンちゃん)の絵が描いてあるから虫さんが苦手な人は要注意です。

カードの意味キーワードは箇条書きで簡潔、かつ説明はたいへんイメージを喚起させられる短詩のような表現力だし読みやすい文。当方がタロットを学びだした初期に影響を受けた名著……なんですが、いかんせん古いんで、文章のノリが古文に片足を突っ込んでる(昭和初期の文とか現代文だけどギリ感ありますよね、これは一応昭和後期だけど)ところでちょっと手を出しづらいです。

 

『タロットの書 叡智の78の段階』

入門書 ☆★★★★研究用
読みやす☆☆★★★難解
お手頃 ☆☆☆★★入手困難
オススメ☆☆★★★あんまり

 レビュー点数低いようですけど当方が好きでよく読みこむ本です。ハードカバーで厚く重め、字が小さくウェイト版カード以外の図版はほぼありません。でも少なくとも『ユングとタロット』よりは明快で読みやすいよね。わりと上級者向けでぜったい入門書ではありません。そういう意味。

 小アルカナを含む78枚のカードそれぞれの深いイメージを丁寧に文章にしていて、逆位置のイメージ情報も豊富です。小アルカナの逆位置についてここまで文章化されている本は珍しいです。

 特徴はタイトルにもあらわれているとおり「人生の叡智」としてのタロットの世界観……自己理解ツール……みたいなとこを掘り下げられるところです。タロットの象徴学やヨーロッパ文化歴史だけでなく、現代の文化にあらわれたものごとを例に出して読み解いたりしてます。

 

各アルカナ関連本

 各アルカナの内容に対応して紹介する本です。本全体としてはそこまで関係ねえという場合もあります。

 

『眠れる森の美女にさよならのキスを―メルヘンと女性の社会神話』

入門書 ☆☆★★★研究用
読みやす☆☆★★★難解
お手頃 ☆☆★★★入手困難
オススメ☆☆☆★★あんまり

 フィクションにおけるジェンダー表象の研究ではぜひ押さえておきたい古典。女性にまつわるおとぎ話やその変遷を分析することで女性が社会の中でどういう存在であったのか論じてる本です。全体として『恋人たち』アルカナと関わりがあり、『女教皇』『女帝』『力』にも深く関係してきます。『少女革命ウテナ』『魔法少女まどかマギカ』みたいな物語の読解も深まりまくり。

 絶版本で中古でしか手に入らないですが今のところプレミアがついてるってわけでもなさそうだし、てごろなサイズのソフトカバー。あくまで研究用の本だってことを念頭に置いてのはなしですがスリリングでなかなかエキサイティングな文です。物語の読解を読んでたはずなのにいつの間にか人間愛とか勇気とかそういうアツい気持ちにさせられている……っていう、よく当方の感想記事に対してそんな感じのことを言っていただくのですが、この本はまさにそれのちょいムズ版ですね。だから本に直接関係深いわけじゃないけど読者の皆様にはおすすめかも。

 

『誰が「ねむり姫」を救ったか』

入門書 ☆☆☆★★研究用
読みやす☆☆☆★★難解
お手頃 ☆☆★★★入手困難
オススメ☆☆☆★★あんまり

 これは心理学とか精神分析(ユング系)による物語研究なんですが上の本とちょっと主題は似ています。いわゆる「ねむり姫」のおとぎ話に特にスポットを当て、ストーリー変遷や異話や類話を比較してますね。そんでそこに登場するアイテム人物設定や展開が現実的にはっていうか、われわれの心の中の何に相当するのか、何を示唆する元型なのかを論じてます。もちろん『少女革命ウテナ』読解的な楽しさがあります。『恋人たち』アルカナに特に関わりがあります。

やっぱり研究の本(しかもハードカバー)なのでじゃっかん文の組み立てはムズめな感じなんですが、神話や物語の類型を読みとるのってオタクが大好きなやつだよね。そういう知的好奇心をビシビシ刺激してくれるタイプの本です。この本の「赤ずきん」版や「白雪姫」版もあるので気に入った方はぜひ。でもみんな絶版してるね。

ちなみに『昔話の魔力(ブルーノ・ベッテルハイム)』も同様にユングい心理学とか精神分析による物語研究の古典です。どっちも絶版本だけど『誰が「ねむり姫」を救ったか』のほうが先におすすめかなぁ。

 

『善の研究』

入門書 ☆★★★★研究用
読みやす☆★★★★難解
お手頃 ☆☆☆☆☆入手困難
オススメ☆★★★★あんまり

 難しいよお!! 西田哲学、難しいよお!! なぜならその基本にただでさえ難しすぎる禅の思想と経験があるから……。「正義」アルカナの「我は我ならずして我」という直観に関わって紹介しましたし、読めればじんわりと正義アルカナの「理想」や「思想」というのとも違う正義なる概念ってこういうことなんかな……がありますが、このじんわりを味わうために読むにはあまりにもキツい。

 さいわい100分de名著にも取り上げられており、現代文としては完全に古典で著作権も切れとるので電子書籍は0円だしオーディブルもあるし、注釈版や要約書もいっぱいあります。100分de名著版はオススメ度4くらいあるけどそんなこと言ったら100分de名著のほとんどがオススメ度4か5だからな。

 

ヨーロッパ文化の本

 コーエーテクモ系の歴史系の重厚なストーリーを何倍も味わうには歴史文化の本を読むのが楽しい! ゲームが終わっても本を読んで「なるほどあれはそういうこと!」すればまだまだ楽しめる! いそのー!無双が出るまで勉強しようぜ!(なんかそういう配信とかできねえかな~と画策しています)

ヨーロッパ(つっても広すぎだが……)文化って近代文明とセットで日本に入ってきた関係上、現代の日本文化にも知らんうちに影響を及ぼしてるんですよね。シンボルや色やいろんな神話の類型表現とか。ヨーロッパ文化を知るのは常識だと思っていたことを見つめなおしたり、自分と違う感覚への洞察を深めたりするのに最適です。

 

聖書

入門書 ☆★★★★研究用
読みやす☆★★★★難解
お手頃 ☆☆☆☆☆入手困難
オススメ☆★★★★あんまり

 まあ……世界一のベストセラーですわ……。今更当方が紹介せんでも……。どこにでもあります……ホテルの部屋にも置いてある……。

クリスチャンでなく、ミッション系の学校に行ってたわけでもなく、神学などを勉強してたわけでもない人には知らない情報量が多すぎて読むのが困難、どっから手をつけたらいいものかもわからないはずです。ただひとつ言えることはこの書物の内容が長い間ヨーロッパやキリスト教文化圏の価値観に影響を与え続けてきたってことです。それこそキリスト教文化圏の文化の「元型」がたくさん詰まっています。

聖書はひとつのトピックについての解説書とかもたくさん出版されている、いわば永遠の旬ジャンルなので、新しくて読みやすい本にも事欠かないはずです。興味がある場合は通して読む必要はないので関連本を探して3冊くらい読んでみましょう。もっと知りたくなるよ。

 

『流血女神伝』シリーズ

入門書 ☆☆☆☆★研究用
読みやす☆☆☆★★難解
お手頃 ☆☆☆☆☆入手困難
オススメ☆☆☆☆☆あんまり

 資料本ではなくこれだけ小説とそのコミカライズです。読者の方で小説を読むのも好きな方なら間違いなく読んでもらいたいやつ。

作中同様にヨーロッパ周辺をかなりガチモデルとした架空の大陸を舞台にした大河ロマン。雰囲気の違いは時代が数世紀進んでる感覚で近世ヨーロッパっぽいことと、魔道や幻獣の力がないことくらいかな。レーベルは少女小説から出てるし少女にこそ読んでほしいというのもそうなんですが、それにしてはかなりガチ系です。『十二国記』とかくらいの。

宗教学を専攻していた著者によるそれぞれの国の宗教観、地理的条件、それによる文化の違いと神との関わり方……みたいなのがFE的にもすごく勉強になるし近いテーマを扱ってるのでスーパーオススメなんですよね。帝国っぽい国とか王国っぽい地方とかパルミラっぽい国とかもある!

特に「女帝」アルカナと「皇帝」アルカナ、女なる混沌と男の秩序の壮大なドンパチで理解が深まります。これ単体で紹介記事も書きたいですね。

 

『色で読む中世ヨーロッパ』

入門書 ☆☆☆☆★研究用
読みやす☆☆☆★★難解
お手頃 ☆☆☆☆★入手困難
オススメ☆☆☆☆★あんまり

 中世ヨーロッパにおける色の使われ方や象徴について述べた本です。わりと平易な文体、ソフトカバーで豊富な事例を読むことができます。

 タロットを作品読解に適用するのってわりと訓練がいりますけど、色は見りゃわかりますからね、作り手側も色の象徴性をわかって表現している場合がたいへん多いからこういうの基礎知識としてフンフンしとくとその後のオタク人生のいろどりになりますよ。色彩だけに。

同じテーマで参考文献に挙げた『ヨーロッパの色彩(パストゥロー)』より読みやすく、『ヨーロッパの色彩』を引用して解説してたりもするので、『色で読む中世ヨーロッパ』のほうを読んでさらに興味がわいたらパストゥローの著書とか『色彩の紋章(シシル)』とかいろいろを読んでみるといいねって感じです。

同じテーマの当ブログのドラクエ11読解

www.homeshika.work

 

『世界シンボル大事典』

入門書 ★★★★★研究用
読みやす☆★★★★難解
お手頃 ☆☆★★★入手困難
オススメ☆☆★★★あんまり

 完全に研究用。「大事典」の名に恥じぬデカさと重さ、もはや筋肉痛とかってレベルじゃない、開きづらい。あの、ほんと、研究者の書斎でなければ必要はないと思います(おれも研究者じゃないけど……)。ロマン枠っていうか。

 でも使うと楽しいんだよなあ、でけえ創作の種本が欲しいぜ!と思うならアリっちゃアリです。ただマジのマジに事典なのでそこは注意してください。これを日本語に翻訳してくれた訳者さんたちのご苦労に拍手だよ。

↓そこまで究極的な決定版はいいわ……という感じならこっちのほうがまあまあ手軽

 

錬金術のイメージ・シンボル事典

入門書 ★★★★★研究用
読みやす☆★★★★難解
お手頃 ☆☆★★★入手困難
オススメ☆★★★★あんまり

 こちらもガチ事典です。表紙がキャッチーなぶんだけ手頃そうに見えるけど、錬金術の事典なので錬金術の基礎知識がないとムズさが倍増ししてしまい、上の事典より薄いのにこっちのほうが手ごわい。罠。錬金術自体の勉強としても入門書ではありません。今回の本の内容にもそこまではっきり関係ない。

でも錬金術およびそれ以前の世界元素に関する哲学ってけっこうヨーロッパ世界観を読むのにだいじではありますよね。四大元素のことについて知りたければどちらかというとタロットリーディングの項で紹介したタロットの書 叡智の78の段階のほうがわかりやすいのでオススメです。

 

『キリスト教シンボル事典』

入門書 ☆☆☆☆★研究用
読みやす☆☆☆☆★難解
お手頃 ☆☆☆☆★入手困難
オススメ☆☆☆☆☆あんまり

 事典系の中では例外的にすごくオススメ本です! いやーやっぱ本ってタイトル見ただけじゃボリュームとか雰囲気とか想像つかんですね。こいつは「事典」という名前によらず新書サイズです。かるーい(本の評価基準か?)

 ちゃんと日本語向けに五十音順になっており、たとえば「鷲」とか「牡鹿」とかがどんな概念を象徴し、どんな逸話と関連付けられているのかみたいなことを簡易に調べられます。「正方形」とか「四」とかそういう概念語についても書いてありますね。

 小さくて軽いからそれこそ西洋絵画の美術館に持っていっても役に立ちますし、説明の仕方もわりと簡易な小事典なので、読み物として通読することもできます。実際いろんなシンボルが織り込まれてそうな西洋系の作品を好きになったらまずはコレだよな。

 この黄色い本は小事典ですが、厚さや詳しさや書き味の異なる似た趣旨の本もたくさんあります。気になったら手を伸ばしてみるもよし。

 

『15のテーマで学ぶ中世ヨーロッパ史』

入門書 ☆☆★★★研究用
読みやす☆☆★★★難解
お手頃 ☆☆☆★★入手困難
オススメ☆☆☆☆★あんまり

 めし本のほうでも参考文献に挙げたこちら。文自体はわりと論文集っぽい書き方でほぼ文字なので一般向け入門書とはいえないですが、「封建貴族社会」「農業」「都市環境」「服飾」などテーマ別に章を分けて論じてくれてて、しかもこまけ~ところよりも概論をまとめることに力を注いでくれてるので、なんかこのへんのことボンヤリしてるしもっと把握したいな……という場合にはすごくオススメ、決定版です。

 特に小説とかの創作に説得力とか厚みを出したいなという場合には必携なんじゃないかなとおもいます。べつに全部読まんでもいいし、逆に同時代の他分野とのヨコのつながりの感覚をもちたいときにもちょうどいいし。

 

おすすめのゲーム

 え!? なに!? ゲーム!?

 本とは関係ないけどとにかく風花雪月ファンにはおすすめなんだよ!!

真・三國無双6Empires

真・三國無双6 Empires - PS3

真・三國無双6 Empires - PS3

  • コーエーテクモゲームス
Amazon

初心者用☆☆★★★ゲーマー用
簡単操作☆☆☆★★むずい
お手頃 ☆☆★★★入手困難
オススメ☆☆☆☆★あんまり

www.youtube.com

 風花雪月の無双ゲーがわりとエンパみたいな軍略画面だったので、無双やったことない人は無双エンパ随一の名作をやって慣れときましょう。ただしこれPS3(もしくはPSP)なんだよね。PS3、もってる? 最新作の8エンパはswitchでも出ていますが、雰囲気として新作無双に近そうなのは6ンパなんですよね。

 無双ゲーをまったくやったことがなく不安な方の操作慣れだけなら今ちょうど無双シリーズの操作やマップを親切簡単アレンジしたと評判の刀剣乱舞無双が出ているのでそっちでもいいかもです。Switchだし。コーエーテクモ御中、いつもありがとう。

 特にこの6エンパには顕著なんですが、無双シリーズってキャラゲーとしてすごく優秀なんですよね。ミリ知らの方から見るとたぶん「リアル系のおっさん武将がいっぱい出てくるアクションゲーム」という感じだとおもいますしそれも正しいんですが、歴史や逸話に基づいた多岐にわたる個性的キャラが細かく表現されてて、エンパでは義兄弟の絆や婚姻を結ぶこともできて、戦場でもキャラと掛け合いができるというキャラゲーとしての無双の長所をコーエーテクムゲームスの制作協力さんたちがまるまる風花雪月に再現してくれた、という感じですから、風花雪月のよさってもともとの三國・戦国無双のよさに近いんですよね。

 リアル系のおっさん武将がたくさんいる中にも、アロイスみたいなのもジェラルトみたいなのもエーデルガルトみたいなおじさん(?)もディミトリみたいなおじさん(?)もいて個性豊かだよ!

 

パレドゥレーヌ

初心者用☆☆☆☆★ゲーマー用
簡単操作☆☆☆☆☆むずい
お手頃 ☆☆☆☆☆入手困難
オススメ☆☆☆☆☆あんまり

 たびたび当ブログで話題に出して推しているやつ。騎竜やペガサスはいないまでも、時代感の似たファンタジー中世~近世ヨーロッパ風のゲーム(初出は2006年のパソゲー)です。現在Steamでもプレイできます。

www.homeshika.work

 「フランスあたりの地理をモチーフにした架空の国」「騎士たちの物語」なので、王国への理解が深まることうけあい! なんと登場する人物のほとんどが騎士。王国と同様「封建騎士社会の盟主として、領主騎士たちに承認された王家が立っている」という現代社会とは感覚の違う状況が、サラッと無理なく理解できるように描写されています。

 一応「乙女ゲーム」的な枠で発売され、普段あまりガッツリゲームをやらない人にもプレイしやすいよう設計されたんですが、ジャンルは「プリンセスシュミレーション」。プレイヤーは騎士の国の王女殿下となり、「王女様の行動」をシミュレーションしていくことになります。つまり、カッコええ騎士たちと恋をしてもいいし、贅沢三昧をして民衆に憎まれ革命を起こされてもいいし、王たらんとする者として騎士たちを指揮し政治に励んでもいい、ということです。この3番目が基本的な遊び方となるので、「簡易版・信長の野望」ともいえるゲームです。初心者用☆4としましたが、レアなエンディングやハードモードもあり、こちらはゲーマーにとっても歯ごたえのある奥深い仕様です。

ちなみに武力無双の殿下となり槍試合で国中に騎士の王たることをわからせることもできる(※主人公は金髪碧眼の殿下ではありますが見た目か弱そうな女の子です)!!

 新作までの間にぜひおすすめしたいゲームのため、風花雪月好きの皆様に向けた『パレドゥレーヌ』でファーガス社会情勢を解説実況配信をやりました。

www.youtube.com

ゲームだべる用のチャンネルで風花雪月無双やペルソナや他オススメゲーを毎週末読解配信しているので、チャンネル登録よろしくです。やる気が出ます。

 

配信日程などはツイッターアカウントで告知を行っています。よろしくな

 

 

いっぱい書き下ろし含む書籍版、残り少な。再販予定はありますが時期未定です。

www.homeshika.work

 

 

↓おもしろかったらブクマもらえるととてもハッピーです

このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

www.homeshika.work

↑ブログ主のお勉強用の本代を15円から応援できます

 

あわせて読んでよ

www.homeshika.work

www.homeshika.work